【コラム】山内雄司

セネガルはコロンビア以上に強敵 ハッキリとしたプレーが必要

<日本代表練習>カザンのキャンプ地で笑顔を見せる高円宮妃久子さま(中央手前)と長友(中央手前左)ら日本代表イレブン(撮影・小海途 良幹)
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 コロンビア戦は素直に狂喜に値する一戦だった。ワールドカップで南米勢を破る初のアジアの国となった記録と、何よりいつまでも語られる記憶を刻み込んだ試合となった。

 開始早々の香川のPKに繋がるプレーには、大迫の凄味、試合に賭ける決意が色濃く表れていた。浮き球に対するスタート時点では、大迫はコロンビアCBのD・サンチェスより2歩ほど遅れていた。それでも大迫は一気の加速でこのハンデをイーブンに持ち込むと、バウンドした際にD・サンチェスに軽く身体を当てて入れ替わり、逆に2歩のリードを奪った。ブンデスリーガで屈強なDFと対峙する経験から培った技術が瞬時の反応を支えたと言える。GKのシュートブロックをダイレクトで放った香川のシュートもあっぱれ。きっちりとゴールマウスに飛んでいた。

 本田はいない。俺が取ったのだから俺が決める。香川の決意と技術も光った。話しかけたりスポットの違いを呈したりといったコロンビアによる再三の心理戦にも取り合わず、落ち着いてGKの動きを読み切った。スタンドはアウェーのごとく黄色に染まっていたが、モノともしない精神力の強さを感じさせてくれた。

 しかし、突然の11人対10人はコロンビアとともに日本にとっても想定外だった。どこか相手の出方を探るように急所を突かない消極性が頭をもたげる。同点にされたFKのきっかけとなったファウルは微妙なものだったが、壁の下を抜かれた点、ギリギリのたまに両手でセーブにいった川島のプレーなどは、知らずうちに追い込まれつつあった状況を示している。

 だが、後半は素晴らしかった。もう一度しっかりとマークやチームメイトとの位置関係やプレープランを整理できたのであろう。潰してはパスをつけて連動してランを繰り出す。切り替えも早く、押し込むことでコロンビアに二の矢を放たれるリスクを軽減した。

 吉田、昌子のバランスと激しさ、酒井宏、原口の走力、柴崎の縦パスの質の高さ(なかでもタイミングとコース)、長友と乾のコンビの経験則を感じさせるコンビネーション、そして大迫は後半も脅威であり続けた。

 全員が役割を全うし、集中を切らさずに最後まで戦った。それも守りに入ることなく、ひたすら得点と勝利を目指して戦った。結果もそうだが、その姿勢が美しかった。ハーフタイムの短い時間の中でどれを選手に意識づけた西野監督のマネージメントもまた称賛に値するものであった。

 しかし、である。これが決勝戦なら文句なしに歓喜に涙し、打ち震えればいいが、やはりもう忘れるべきである。確かに言えるのは、この試合が多大なる幸運の恩恵に授かったものでもあるということ。ハメス・ロドリゲスが万全でなかったこと。相手が10人になったこと。ペケルマンの采配がハマらなかったことなどが金星の要因となったのは否定できない。それもサッカーであると言ってしまえばその通りだが、それがサッカーであるなら開始3分の出来事が日本に降りかかることだってあり得る。価値ある1勝だが、大会は続く。喜びはもう仕舞い込み、コロンビア戦の冷静な分析をもって次戦以降に役立てなければならない。

 ポーランドを打ち破った試合を観る限り、セネガルはコロンビア以上に強敵である。190センチ超のCBコンビや、マネとサールの両翼のスピードと技術は驚異的である。アフリカ勢というと身体能力の高さばかりがクローズアップされるが、ポーランド戦ではセ組織力の高さも印象づけた。立ち上がりは慌てず前からプレスに行かずにラインを保ってポーランドに突破口を与えなかった。ポーランドが焦れだすと、今度はラインバランスはキープしながら少しづつ前から囲い始めた。ボールを奪うと一気のショートカウンターでゴールを狙う。戦術と個人技のバランスがよく、訓練されたチームの佇まいがあった。

 日本はまずハッキリとしたプレーが必要とされる。相手がブロックを敷いたらどう回すのか、プレスに来たらどう展開するのか。少しでも疎通を欠いたり、意図なきパスがあれば、奪われてカウンターの餌食になる。カギになるのは中盤での縦パスのサイドへの素早い展開と裏への意識か。CBの片方を含め、ラインを崩してギャップを突きたい。ただ、その際もカウンターへの細心の注意が必要だ。

 しかしながら、そこは綿密なスカウティングが成されているはず。西野監督がどのようなプランで臨むのか。どこで勝負を仕掛けるのか。実に興味深い。

 さて、筆者も含め、大方の予想を裏切って初戦で勝点3を得るという最高のスタートを切った我らが日本代表だが、今後もランクもレベルも格上との対戦が続く。果たして、どのような結果が待ち受けているかを予想するのは難しい。コロンビア戦以上の歓喜がもたらされるのか、グループリーグを突破して過去最高の成績を残すのか、それとも残念ながら……。

 だが、たとえどんな結果となろうとも、忘れてはならないことがある。歓喜に酔いしれようとも、あるいは悔しさに涙しようとも、この4年間どのような強化をし、それが今大会にどのような影響をもたらしたかを精査する作業こそ重要であるということを。前回も記したが、もう大会毎に継続性のない強化はすべきではない。成績に関係なく、1か月前になって監督を交代したという事実は深く受け止めなければならないし、そこを誤魔化して次なるステップを踏んでは、また繰り返してしまう恐れがある。その点では、代表チームが帰国してからの協会のリーダーシップにこそ注視が必要だ。そこは今一度念頭に置きつつ、我らが代表の今後の熱い戦いを見つめていきたい。(山内雄司=スポーツライター)

[ 2018年6月22日 10:50 ]

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