【コラム】山内雄司

浦和 ビジョンなき交代劇 本当に採り入れるべきは何なのか

浦和レッズの後任監督に有力視されるネルシーニョ氏
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 4月2日午前、浦和は堀孝史監督との契約解除と大槻毅育成ダイレクター兼ユース監督の暫定的なトップチーム監督就任を発表した。今季、開幕からリーグ5戦連続勝利無し。5節終了時点で17位と低迷する責を問われた形だ。

 解任自体は致し方ない戦績である。ただ、タイミングとしては首を傾げざるを得ない。2週間の代表の中断期を経て、リーグ5節の磐田戦で解任されたわけだが、今後は15節のG大阪戦まで実に14試合が中2〜3日のペースで続く。せめて中断前に結論を下しておれば、新体制の準備も少しは違ったものになったかもしれない。

 とはいえ、ビジョンなき交代劇は今に始まったことではない。ミハイロ・ペトロヴィッチ体制の終焉も、直前まで「全力でサポートする」と口外しておきながら、高まる批判に屈したかのように「改善の兆しが見られない。新しいものを採り入れないとタイトルを勝ち取れない」(山道強化本部長)と方向転換し、それでいて「ミシャの下で経験を積んだ堀監督に改善してもらいたい」と新監督に重荷を背負わせた。淵田代表も「基本的にミシャのサッカーを継続したいと考えている」と発言している。筆者はこれに違和感を拭い去れなかった。監督という仕事の何たるかを軽視してはいないか、と。振り返れば堀前監督はゼリコ・ペトロヴィッチ元監督の解任の際にも暫定的に指揮官を託された。堀孝史 のサッカーがトップにいかにフィットするかという議論は常に後回しとなっていた。

 しかしながら昨季、堀前監督はACLを勝ち取った。そこで今季を託すに至ったわけだが、では堀監督に何を求めたのか。そのサッカーに何を見出したのか。そこにビジョンがあれば、明確なノルマも公言できたはずだ。確かに山道強化本部長は1月の新加入選手記者会見の席上で「3年連続タイトルを目標にします。またACLの出場権獲得も目標にしたいと思っています」と語ったが、それを可能にする方向性が指揮官と擦り合わせられていたのかは疑問だ。

 勝てなかった。采配や選手起用にも不可思議なものも多かった。ただ、この時期の解任は監督だけの問題ではない。言うまでもなく強化の失敗であり、クラブとしてこの事態を招いた総括と立て直しのための今後の方針を早急に決しなければ、トップチームがシーズンを棒に振るばかりか、クラブ全体にも影響を及ぼすことにもなる。

 またしても急場しのぎの内部昇格である。大槻新監督がその任として適しているか未知数である。暫定とはいえ育成ダイレクター兼ユース監督という職務からいきなりトップチームを指揮するという“無茶な人事”にクラブの脆弱さを感じてしまう。これまでも苦しい時の堀頼み、その頼みの綱もなくなって取り急ぎライセンス保持者を頭に据えた。「何とか時間は稼いだゾ。次を探せ、探せ」「ユースはコーチで大丈夫だろう。いや、大丈夫じゃなきゃ困る。それより今はトップだ。探せ、探せ」どうしてもそんな感じに見えてしまう。これでは何年経ってもイチからやり直し。いったいサポーターやファンはいつまでやり直しを見せられればいいのか。

 責任の取り方に決まりはない。次の監督を見つけ出し、再び勝利への道筋をつけることこそ重要だと考えているのかもしれない。だとしても、もはや責任のそしりは免れないと考える。なぜなら、サポーターやファンは現強化部門の体制下でおよそ確固たる勝利への道筋や信じるに足りるビジョンを示されていない。「内容は悪くはない」「引き続き全力でサポートする」と言われ続け、その結果として繰り返されるため息と怒号、責任論なき解任劇に、怒りを通り越してうんざりしている人も多いと思われる。

 「新しいものを採り入れないとタイトルは勝ち取れない」

 そう仰られたからには、実践して頂きたい。本当に採り入れるべきは何なのか(取り払われるべきは何なのか)。

 ピッチの上だけではない。もはや“待った無し”で組織としての在り方、覚悟が問われているのではなかろうか。(山内雄司=スポーツライター)

[ 2018年4月3日 11:00 ]

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