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【コラム】戸塚啓

それでも勝利をつかまなければならない

[ 2016年11月10日 19:30 ]

現役時代はFWだったハリルホジッチ監督(右)はお手本を見せるとばかりに久保に華麗なヒールパスを送る

 ロシアW杯アジア最終予選は、11月15日の第5戦で各国が全日程の半分を消化することになる。

 4試合終了時点の順位を確認しておくと、サウジアラビアが3勝1分けの勝点10で首位に立っている。2位は2勝2分けで勝点8のオーストラリアで、2勝1分け1敗の日本は勝点7の3位だ。日本のホームで勝利をつかんだUAEも、2勝2敗の勝点6で上位3か国を追いかけている。

 サウジアラビア戦で日本に求められるのは、言うまでもなく勝点3である。さらに言えば、サウジアラビアのプラス5に対して日本がプラス2の得失点差も、できるだけ詰めておきたい。

 勝点が同じチームがある場合、最初に順位決定の条件となるのは得失点差で、次が総得点、その次が当該チームの勝点である。15日のホームゲームで日本がサウジに勝てば、両チームは勝点10で並ぶ。ただ、1点差の勝利では得失点差で上回ることができない。得失点差まで気にする段階ではないかもしれないが、意識の外へ追い出すことはできないだろう。

 万が一にでも引き分けに終わると、2位以内での予選突破に黄色信号が灯る。サウジアラビアとの勝点3差を詰められないだけではない。同日のゲームでオーストラリアがタイを退ければ、オーストラリアとも勝点3差になってしまう。

 ここで気になるのが、残り5試合のスケジュールだ。

 UAE、イラク、サウジアラビアと、中東3か国とのアウェーゲームが残っている。

 17年最初のゲームは3月23日のUAE戦だ。3月のアウェーゲームは数か月の空白ののちに迎えるもので、日本が苦手としているものでもある。

 前回予選で唯一黒星を喫したのは、3月26日にアンマンで行われたヨルダン戦だった。06年のW杯ドイツ大会最終予選でも、3月25日にテヘランでイランに敗れた。

 海外組がクラブで試合に出ているか否か、ケガや出場停止でプレーできない選手がいたかどうかなど、その時々でチームの状況は異なる。そうだとしても、難しい試合になることをデータは裏付ける。

 ホームゲームも簡単ではない。3月28日のタイ戦は、23日にUAEとアウェーで対戦した直後だ。同日のタイはバンコクでのホームゲームなので、日本の帰国よりも先に来日できる。オーストラリアとのホームゲームも、南アフリカ、ブラジル両最終予選ではドローに終わっている。勝点3を計算しておくことはできない。

 9月にホームで対戦したUAEは、試合の2日前に来日した。イラクは3日前の夜に到着した。

 サウジアラビアは8日に来日した。オランダ人のベルト・ファンマルバイク監督が率いつチームは、1週間前から日本国内で準備を進めている。

 タフなゲームを覚悟しなければならないが、それでも勝利をつかまなければならない。10月のオーストラリア戦で、ハリルホジッチ監督は勝点1を受け入れた。その前提には、ホームゲームの勝利があったはずである。(戸塚啓=スポーツライター)

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