【コラム】戸塚啓

チーム内の競争原理は?結果を出している選手を起用するべき

[ 2016年9月30日 05:30 ]

資料を見せながら説明するハリルホジッチ監督
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 依然として問題は多い。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表である。

 ヨーロッパでプレーする主力選手の多くが、所属クラブでポジションを失っている。本田圭佑も香川真司も、岡崎慎司も吉田麻也も、コンスタントに出場機会を得ることができてない。シーズン開幕直後は先発していた長谷部誠や清武弘嗣も、ここ最近はスタメンから外れている。9月のW杯予選で途中出場のカードとなった宇佐美貴史や武藤嘉紀も、難しい立場に立たされている。

 海外組の多くが出場機会を得られない状況は、ジーコの日本代表も直面した問題だった。2002年のW杯日韓大会後に代表チームを託されたブラジル人指揮官は、海外でプレーする才能へ揺るぎない信頼を寄せ、自らの監督就任前後にヨーロッパへ飛び出していった選手を重用した。ところが、チーム事情や度重なるケガで試合から離れ、コンディションを整えきれない選手が絶えないのである。

 ジーコはそれでも海外組を起用した。クラブで鈍った試合勘を、代表で取り戻してもらうようにした。だが、チームは結果を残せない。ジーコは解任騒動へ巻き込まれていった。

 ブラジル人指揮官が幸運だったのは、W杯予選の合間に欧州へ遠征できたことだった。時差のない環境で持ち味を発揮した海外組がいて、国内組から新たな戦力が台頭してきた。海外組と国内組を掛け合わせたチーム作りが、ここから進んでいったのである。

 かつてのジーコが手にしたスケジュールの余白が、ハリルホジッチ監督には無い。1勝1敗に終わった9月の2試合に続いて、10月もW杯最終予選の2連戦に臨む。

 テストをする時間的余裕がないだけに、メンバーの大幅変更は現実的でない。すでにあるコンビネーションを生かしていくべきで、コンディションの見極めがこれまで以上に重要になってくる。

 いつもどおりのスケジュールが踏襲されれば、国内組と海外組の一部が10月2日からトレーニングをスタートさせることになるはずだ。海外組のなかには、4日に合流する選手もいるだろう。

 イラクとのホームゲームは、2日後の6日である。ゲームから遠ざかっている選手の起用には、慎重にならざるを得ない。

 いずれにしても、ハリルホジッチ監督のチームが重要な転換期に差し掛かっているのは確かだ。南アフリカW杯前後からチームを引っ張って選手が、ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かっている。彼らの力がいきなり衰えているわけではないものの、「所属クラブで力を示している選手が選ばれる」という代表チームの前提が揺らげば、チーム内の競争原理そのものがグラつきかねない。

 クラブで試合に出ているのはもちろん、目に見える結果を残している選手は、思い切って起用するべきである。結果的にそれがチームの基礎代謝をアップさせ、ひいては世代交代へ結びついていくと思うのである。(戸塚啓=スポーツライター)

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