【コラム】戸塚啓

ビッグネームの獲得 もはや望めない?

[ 2015年12月31日 05:30 ]

2015年6月21日サポーターの声援に応えるフォルラン
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 年末の国内サッカーは、契約にまつわるニュースが溢れている。数字を残した選手や印象的な活躍をした選手は、かなりの確率で動いているように感じる。選手を引き抜かれたクラブは、代わりの選手を引っ張ってこなければならない。玉突きのように選手が動いていく。

 主力が流失したクラブは大変だろう。レギュラークラスの移籍が、例年になく多いと感じる。ただ、Jリーグ全体としては新シーズンへ向けた話題作りとなるのは間違いない。プロスポーツの興行である以上、シーズンオフもメディアに取り上げられるのは大切なことだ。

 その一方で、Jリーグのクラブ間による玉突き移籍には限界もある。国外からの選手獲得もなければ、リーグ全体のレベルは上がっていかない。

 個人的には、横浜FCと水戸ホーリーホックの補強リストに眼がいく。どちらもベトナム代表クラスの選手を、期限付き移籍で獲得したのだ。横浜FCはベトナムのピルロと呼ばれるグエン・トゥアン・アインを、水戸はベトナムのメッシことグエン・コンフォンを、それぞれ迎え入れている。

 即戦力となれるかどうかは、率直に言って未知数だろう。それでも、未知数ゆえの楽しみはある。国際舞台でプレーする選手は、たとえ東南アジアの選手でもチームに刺激を与える。

 丸岡満と長澤和輝も楽しみだ。こちらはドイツ・ブンデスリーガでプレーしていたふたりで、丸岡は1月に20歳となるリオ五輪世代で、ドルトムントから下部組織で育ったセレッソ大阪へ復帰する。

 12月までケルンの一員だった長澤は、浦和レッズが完全移籍で獲得した。16年はJ2のジェフ千葉へ期限付き移籍する。

 丸岡はJリーグのピッチに立ったことがなく、長澤も専修大在籍時に、特別指定選手でカップ戦に出場しただけだ。それだけに、J2でどれぐらいできるのかは興味深い。ブンデスリーガで何を感じ、何を得たのかを、ピッチ上で表現してほしいものである。

 それにしても……かつてのディエゴ・フォルランのようなビッグネームの獲得は、もはや望めないのだろうか。各クラブの予算規模を考えると、ヨーロッパのクラブのように移籍市場を活用しろとは言いにくい。だが、誰もが知っている外国人選手の獲得には、複合的な効果がある。トップチームの選手だけでなく、下部組織の選手の見本にもなる。スタジアムへ足を運んだ子どもたちが、サッカーへの夢を膨らませることにもつながる。クラブW杯を生で観戦した子どもたちがメッシやネイマールに注いだのと同じ視線が、Jリーグにも向けられたら素晴らしいと思うのだが。(戸塚啓=スポーツライター)

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