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【コラム】戸塚啓

Jリーグの支援 “関東・東北豪雨”に思う

[ 2015年9月18日 05:30 ]

 茨城県常総市を襲った記録的豪雨から、9月17日で1週間になる。栃木県鹿沼市も土砂災害や浸水被害に見舞われ、宮城県でも住宅の浸水被害が広がった。テレビや新聞などで大きく取り上げられていない地域にも、平穏な日常を奪われてしまった方がいるかもしれない。

 大雨による災害が発生した直後のリーグ戦で、大宮アルディージャのサポーター有志が義援金の募金活動を行なった。対戦相手の水戸ホーリーホックも、練習場が冠水するなどの被害に見舞われていた。少しでも支援をしたいとの気持ちを、大宮のサポーター有志が表したのだった。

 義援金の募金活動などの輪は、様々な形で広がりを見せつつある。

 支援の瞬発力はもちろん大切だ。もっとたくさんのクラブに、もっと早く反応してほしかった、という気持ちもある。

 とはいえ、早さだけが尊いわけではない。何よりも欠かせないのは、継続性だろう。被災地の被害の大きさを見れば、一過性の支援にしてはいけないのは明らかである。

 Jリーグの理念のひとつに、「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」というものがある。また、Jリーグ100年構想には、「観る。する。参加する。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること」とある。

 「理念」や「構想」だけに、少し固めの文章だ。ただ、「国民の心身の健全な発達への寄与」も、「スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること」も、助け合いの精神と切り離して考えることはできないはずだ。

 Jリーグ各クラブが目ざす地域密着や地域貢献に、自ら制約を設ける必要はない。困っている人がいれば、ホームタウンをこえて手を差し伸べていい。差し伸べるできだろう。それが、地域の公共財としてのスポーツクラブの役割だと思う。

 Jリーグという枠組みはもちろん、それぞれのチームが被災地や被災者に寄り添いたい。もちろん、Jリーグのクラブに限った話ではない。JFLや地域リーグのクラブだって、支援に動いていいはずだ。被害の記憶が生々しいいまだけでなく、来月も、再来月も、被災地を忘れないようにしたい。(戸塚啓=スポーツライター)

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