【コラム】戸塚啓

中途半端なスタメンが残念 人材発掘の急がれるポジションはない 監督の意図が見えにくい

[ 2015年8月7日 05:30 ]

韓国と引き分けに終わりガックリの日本代表イレブン
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東アジア杯 日本1―1韓国
(8月5日 中国・武漢)
 正直に告白すれば、僕は過去の東アジアカップの成績をはっきりと覚えていない。すぐに思い出せるのは、初優勝した前回大会くらいだ。それ以前については、一つひとつのゲームの輪郭さえ曖昧である。

 2003年大会で、大久保嘉人が前半で退場になった。05年大会の初戦に敗れ、ジーコは第2戦でスタメンを総入れ替えした。10年大会で闘莉王がレッドカードを受け、韓国に惨敗を喫した──いくつかのゲームを思い出すことはできるが、W杯予選やアジアカップに比べると明らかに記憶は薄い。

 理由は簡単だ。何かを得ることも、失うこともない大会だからである。

 東アジアの隣国との対戦は、負けられない一戦と言われる。もちろん、勝ったほうがいいに決まっている。

ただ、とりわけ日韓戦は海外組が合流できず、ベストメンバーでの対戦は実現しない。どちらのチームも、控え選手が中心のメンバー構成となる。ゲームの論点は、勝敗ではないところへ置かれる。

国際経験の少ない選手が、韓国を相手に何ができるのか。韓国や中国のホームで、戦える選手は誰なのか。新たな選手の発掘に、僕自身は目が向く。まだ東アジア選手権と呼ばれていた当時から、結果を最優先事項とは考えていなかった。

 2016年8月に行われている今回は、何を求めるべきなのか。

 海外組を交えたチームに、人材発掘の急がれるポジションはない。内田篤人が離脱している右サイドバックも、ブンデスリーガでプレーする酒井宏樹と酒井高徳のふたりがいる。長友佑都を右サイドで起用し、太田宏介を左サイドバックに置くオプションも使える。

 だからなのだろうか。ハリルホジッチ監督の意図が、どうにも見えにくい。テストを重視しているのか、優勝を狙っていたのかが、はっきりしないのだ。

 Jリーグの合間に編成された急造チームで臨んでいるのは、誰もが理解している。連覇を逃したところで、非難を浴びることはない。浴びたとしても、更迭にはつながらない。そもそもどれだけの人が、連覇を期待していただろう。

他ならぬハリルホジッチ監督も、準備期間の無さを嘆いていた。ならば、テストへ軸足を置けばいい。表現こそ違うが、「優勝は無理だ」と最初から言っているのだから。W杯予選が再開される9月以降へつながるタレントの発掘として、今大会の3試合を使えば良かった。

それだけに、中途半端なスタメンが残念なのである。第1銭と第2戦でメンバーを総入れ替えし、韓国に完敗したとしても、選手の見極めができれば良かったと思う。不格好な負けかたはしたくないという指揮官のプライドが、大会に臨む姿勢を中途半端なものにしていると感じられてならない。(戸塚啓=スポーツライター)

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