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【コラム】戸塚啓

武藤嘉紀の行方 

[ 2015年4月24日 05:30 ]

FC東京のFW武藤の移籍先は?
Photo By スポニチ

 武藤嘉紀はどうするのだろう。

 チェルシーへ移籍するのだろうか。それとも、FC東京でプレーを続けるのだろうか。

 ヨーロッパでプレーすることを第一義的な目標とするなら、チェルシーを欧州というマーケットの入り口と考えればいい。そもそも加入1年目の日本人が、アザールやセスク、オスカールらとともにプレーできる可能性は低い。1年目はオランダ、フランス、ドイツなどのクラブへ期限付き移籍することになるだろう。今シーズンのチェルシーは、10代後半から20代前半の選手を20人以上も貸し出している。

 オランダ・エールディビジは、武藤のプレースタイルと親和性が高い。スピードを生かした積極的な仕掛けは、ほとんどのチームがウイングを置くこのリーグに合っている。チェルシーが継続的に選手を送り込むフィテッセなどは、有力な移籍先となるだろう。

 期限付き移籍で結果を残せば、チェルシーへの復帰、移籍期限の延長、買い取りのオファー、異なるクラブへの期限付き移籍と、選択肢が増えていく。武藤自身がチェルシーでプレーすることにこだわらないなら、思い切ってチャレンジしていいと思う。

 一方、国内復帰が取り沙汰される選手もいる。ディエゴ・フォルランとの契約を更新しない方針を固めたセレッソ大阪が、バーゼルの柿谷を呼び戻すかもしれないという。

 柿谷とバーゼルの契約は18年6月までで、復帰は簡単ではない。だが、ここまで28試合を消化したスイス・スーパーリーグで、柿谷は12試合出場にとどまっている。移籍1年目の難しさはあるとしても、現状は物足りない。

 欧州へ移籍した選手が志半ばで帰国すると、「失敗」の烙印を押されがちだ。だが、Jリーグに加入した外国人選手が、すべて成功を収めているだろうか。契約を全うして笑顔で帰国しているだろうか。

 答えは「NO」だ。わずか数試合の出場で日本を去る外国人選手もいる。

 欧州へ移籍した日本人選手も、試合に出られなければ環境を変えていい。Jリーグに戻ってきて力を蓄え、次のオファーを待てばいいのだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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