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【コラム】戸塚啓

駒野、招集の意図は?

[ 2014年2月28日 05:30 ]

ニュージーランド戦に向けた日本代表メンバーを発表したザッケローニ監督
Photo By スポニチ

 ニュージーランド戦まで1週間弱の時間があるが、スタメンを予想するのは難しくない。2月27日に発表された日本代表のメンバーは、これまでの流れを汲むものだった。

 ちょっとした驚きは駒野友一の復帰だろう。
内田篤人のケガによる招集だが、酒井宏樹と酒井高徳も選手されている。

 ハノーファーの酒井宏は、今シーズン開幕から右サイドバックのポジションをつかんでいた。だが、ウインターブレイク直前のゲームで初めてスタメンから外れ、スロムカ監督の解任とコルクト監督の就任、さらにはチェコ代表ライトラルの加入によって、このところサイドラインの外側へ押し出されている。

 酒井高の歩みは堅実だ。シュツットガルトの右サイドバックは、彼のために用意されたポジションだ。所属クラブでのパフォーマンスを前提とすれば、ニュージーランド戦は酒井高が起用されるべきである。

 それでも、駒野を招集した意図は?

 ザックの脳裏に過るのは、内田のケガが長期化した際のリスクマネジメントだろう。昨年8月のウルグアイ戦を最後に、駒野は代表から遠ざかっている。およそ7カ月の空白を埋めておくことで、より柔軟な対応を実現したいはずだ。

 W杯本大会では、試合に出られない選手も重要な役割を担う。02年と10年の決勝トーナメント進出は、経験豊富な選手がチームを下支えした。02年なら中山と秋田であり、10年は川口、楢崎、中村俊、稲本らである。

 ザックのチームは競争力の高い集団だが、控え選手を含めた一体感を作り上げる人材は決まっていない。早期に決める必要もないのだが、そろそろ候補者は絞り込みたい。駒野にそうした適正があるのかを確認するためなら、このタイミングでの招集も納得できる。

 ニュージーランド戦で、日本が得点をあげたら。ベンチの反応にも目を凝らしたい。スタメンを巡る競争に挑みつつ、チームの一員として貢献できる選手は誰なのか、を。(戸塚啓=スポーツライター)

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