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【コラム】戸塚啓

「個」の力を磨く 日本代表 競争を促さなければならない

[ 2013年8月2日 06:00 ]

韓国から帰国し、取材に応じるサッカー日本代表の(左から)山口、柿谷、扇原
Photo By スポニチ

 先の東アジアカップは、柿谷のための大会となった。大会前から注目されていた彼が結果を残したことで、ザックのチーム作りは予定どおりに進んでいるとの印象を抱かせる。
柿谷だけではない。バックアップ層を求めているセンターバック、ボランチ、1トップに、代表入りの“1次試験”をパスした選手を見つけることができる。森重、山口、豊田らだ。海外組と同じステージで“2次試験”に臨む資格を、彼らも得たと言っていい。

 ところで、新戦力のテストはもう終わりなのだろうか。

 8月14日以降のテストマッチは、インターナショナルAマッチデイに行なわれる。海外組を招集できる。だからといって、新戦力のテストを打ち切るのは早い。

 たとえば、J1得点ランキング上位の佐藤寿と大久保だ。彼らには実績かある。若手中心の東アジアカップへ連れていかなかった判断は、妥当だったと思う。同時に、所属クラブでの活躍ぶりは、代表候補に加えられるべきものだ。年齢で切り捨てるのはもったいない。ポーランドで復調の足掛かりをつかんでいる松井大輔も、活躍が継続的なものとなれば、気になる存在となってくる。

 海外組と遠藤、今野、前田らを中心したチームは、ひとまず出来上がっている。しかし、現在の主力選手が、来年6月のW杯をベストコンディションで迎えるとは限らない。2010年のW杯南アフリカ大会でいえば、攻撃の大黒柱だった中村俊輔がスタメンから外れている。09年に得点を量産した岡崎も、南アでは控えにまわることとなった。

 これから消化していくテストマッチは、世界におけるチームの現在地をはかり、W杯までに何を肉付けしていくのかを明らかにする機会である。

 コンフェデ杯までのチーム作りは、既存のメンバーによる成熟度のアップにほとんどすべてを費やしてきた。ここからは、内部競争の激化による個々のレベルアップを同時進行的に促していかなければならない。ベテランと若手を問わず結果を残している選手をピックアップしていくのは、コンフェデ杯で明らかになった「個」の力を磨くことにもつながっていくのである。(戸塚啓=スポーツライター)

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