【コラム】西部謙司

ブラジルに完敗もチャンスはある

[ 2016年8月4日 05:30 ]

リオ五輪を欠場するFW久保。3日の欧州CL予選3回戦第2レグで2得点を決めた
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 久保裕也の五輪出場が不可能になった。所属クラブのヤングボーイズ(スイス)が久保の招集に応じなかった。五輪はFIFAの国際Aマッチに認定されておらず、代表招集には強制力がない。所属クラブがNOと言えば、招集できないルールになっているのだ。当初は久保の五輪参加にOKを出していたヤングボーイズは、FWに負傷者が出てしまったので久保が急遽必要になったのだという。

 日本と1次リーグで対戦するスウェーデンは、52人もの選手が招集を拒否したと報道されていた。協会会長が辞任して混乱していたアルゼンチンは、大会参加そのものが危ぶまれていた。サッカー界における五輪男子サッカーの位置づけは微妙で、陸上競技や水泳などと比べると温度差がある。

 逆に言えば、日本にとってはチャンスだ。前回のロンドン五輪は日本と韓国によるアジア同士の3位決定戦だったが、ワールドカップではまず起こりえない現象だろう。

 強化試合ではブラジルに0-2と完敗、前半は実力差をみせつけられた。ミスのないブラジルに対してボールの奪いどころを作れず、ドリブルで侵入されて守備陣を崩されていた。これがワールドカップなら日本の仕上がり具合は危機的だが、五輪なのでそんなに悲観しなくてもいいのではないかと思っている。開催国として必勝を期し、ネイマールを招集したブラジルは例外的に本気度が高いチームだった。

 日本は久保を招集できなかったが、初戦で対戦するナイジェリアは資金不足でブラジルへ渡航できず、キャンプ地のアメリカで足止め。日本戦の2日前になってもまだ到着していない。ワールドカップに比べると準備不足のチームは多い。ときどきハイレベルの大会になることもあるとはいえ、どうなるかやってみなければわからないのが五輪男子サッカーの特徴といえる。(西部謙司=スポーツライター)

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