【コラム】西部謙司

偉大なチームの終焉

[ 2016年3月11日 05:30 ]

4日の中国戦に敗れ涙を流す大儀見(左)と宮間
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 なでしこジャパンが五輪予選で敗退した。さまざまな敗因があげられるのだろうが、大きな成功を成し遂げたとして、わりとありがちな終焉だったと思う。

 強いチームは、強力な個とチームワークを誇り、他にはない際立った特徴を持つ。2011年ワールドカップに優勝したときの日本には、他国にはないパスワークという特徴があった。ぎりぎりの勝負を制しての優勝であり、日本の実力が図抜けていたわけではなかったが、パスワークについては際立っていた。

 4年後の準優勝は、世界一のメンバーによる試合運びの上手さが目立っていた。看板のパスワークも健在だったが、他国もレベルアップしていて差は縮まっていた。そして、今予選ではアジアの中でも日本のパスワークは特別な優位性を発揮できていなかった。

 経験値に頼る以上、世代交代が進まなかったのは無理もない。そうでなくても国民栄誉賞を受賞したメンバーを入れ替えるのは簡単ではなかっただろう。チーム作りは少しずつ壊しながら作るのが定石だが、強力なチームほど新戦力が入り込む隙間はなく、新しい戦力ほど弾かれてしまう。偉大なチームほど作り替えるのは難しいわけだ。

 事前に手を打つチャンスもあったかもしれないが、それは監督や選手よりも技術委員会の責任だろう。今後は大幅な選手入れ替えがあるかもしれないが、まずは分析をしっかり行って長期的な戦略を立てるべきだ。従来の選手も十分に戦力になるはずで、11年に最大のストロングポイントだったパスワークという財産を生かし損ねたように、世代交代の大義名分の下に実を捨てるようではまずい。(西部謙司=スポーツライター)

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