【コラム】西部謙司

ボルシア・ドルトムントの変身

[ 2015年9月23日 05:30 ]

9月20日、レーバークーゼン戦の後半、ゴールを決め喜ぶドルトムントの香川(右)
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 ボルシア・ドルトムントが絶好調だ。ブンデスリーガは開幕以来5連勝、ELを合わせると10連勝、さらに7月のプレシーズンからのテストマッチなどを含め て16連勝と破竹の快進撃である。昨季はリーグの折り返し時点で最下位、最終的に7位。同じチームとは思えないほどの変身ぶりだ。

 クロップからトゥヘルに監督が代わり、プレースタイルも変化している。

 リーグ連覇など栄光を築いたクロップ前監督のときは、縦に速い攻撃とゲーゲン・プレッシングと呼ばれた前方からの守備の組み合わせが印象的な、走力とインテンシティで勝負するスタイルだった。しかし、今季はパスワークを軸としたポゼッション型に変化している。

  戦力で図抜けているバイエルン・ミュンヘンに対抗するには、同じやり方では難しい。バイエルンとは異なるアプローチで成功を収めたドルトムントだったが、 他チームにも研究されて昨季は苦戦に陥った。基本的に堅守速攻型なので、相手に引かれたときに苦労した。トゥヘル監督に交代した今季、ドルトムントはいわばバイエルンと同種のスタイルに舵を切った。

 クラブ自体の位置づけも変化している。クロップが就任したころは莫大な負債があってバイエルンに対抗できるような補強は無理だった。しかし、もともとサポーターの人気は絶大なクラブである。ゴール裏だけで2万人以上を収容する。クロップ時代の成功で財 政的にもヨーロッパのビッグクラブに仲間入りした。補強する選手もタフで走れて若い選手ばかりでなくテクニカルな人材が増え、現在は香川、ムヒタリアン、ロイス、ヴァイグル、ギュンドアンなど、むしろ技術的に優れた選手が主力を占めるようになった。人材的にも堅守速攻型が合わなくなっていたのだ。

  堅守速攻型のチームは上位を食っていくには適している。お金もそれほどかからない。しかし、自らの順位が上がっていくと今度は格下に堅守速攻のお株を奪われることになる。ここでより上を目指してスタイルを変えることに成功するか、大型補強が外れるなどで転落するかのターニングポイントがある。

 ドルトルントより上は、もともとバイエルンしかいなかった。資金、人材の格差が縮まったことで真っ向勝負に出た。これまでのところは上手くいっている。(西部謙司=スポーツライター)

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