【コラム】西部謙司

南米王者が見せたJリーグにはないサッカー

[ 2015年8月12日 05:30 ]

<G大阪・リバープレート>前半、明神(左)、今野は、二人でプレスをかけるもサビオラ(右)にドリブルで交わされる
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 8月11日のスルガ銀行チャンピオンシップでリーベル・プレート(アルゼンチン)が来日、ガンバ大阪を3-0で破って優勝した。ナビスコカップ王者とコパ・スダメリカーナの優勝チームが対戦する同大会だが、今年のリーベルはリベルタドーレス杯を制したばかり。強行日程の中、南米王者としての来日だった。

 G大阪にもチャンスはあり、スコアほど試合内容に圧倒的な差があったわけではない。G大阪の長谷川監督が「あまり言いたくないが、決定力の差」と話していたとおり、いくつかあった決定機を決め損ねたことで流れが決まってしまったゲームだった。

 ただし、やはり両者には差があった。差というより違いかもしれないが。

 リーベルのパススピードは速く、そのぶんパスワークのスケールも大きい。ワンタッチパスの連続でG大阪を翻弄した場面が何回かあったが、ボールの動く距離とスピード感はJリーグでは見られないものだった。いわゆる敵を「チンチンにする」パスワークはJリーグにもある。しかし、それは近い距離のワンタッチパスなどで相手のプレスをかわすパスワークだ。リーベルの場合はJリーグよりもずっと長い距離、20メートルぐらいのパスを右に左に連続させて「チンチン」にしていた。

 守備側にすれば、ボールの行方を目で追って頭を振っているうちに、あっというまにペナルティーエリアへ侵入されてしまう。そんな崩し方だった。サイドキックの強さと精度に違いがあり、あのサイドキックがなければ成立しない攻撃である。

 親善試合で川崎フロンターレを圧倒したボルシア・ドルトムントにも、リーベルと同じようなパスワークがあった。G大阪と川崎FはJでも屈指のパスワークを誇るチームだ。個々の技術でリーベル、ドルトムントと大きな差があるわけでもない。だが、チーム全体としてみればリーベル、ドルトムントに格上感があり、どちらもJリーグにないものを持っていた。

 日本には日本の良さがあり、日本にないものを相手が持っていたからといって、それが勝敗に直結するかどうかはわからない。ただ、自分たちにないものを相手が持っている、それに気づくのは進歩につながるはず。リーベル、G大阪とも厳しい日程での試合だったが、その点では意義のある試合だったのではないか。(西部謙司=スポーツライター)

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