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【コラム】西部謙司

準備は整ったか?

[ 2012年9月7日 06:00 ]

<日本・UAE>試合終了後、表彰セレモニーの準備が進められる中、ピッチで岡崎を「公開説教」するザッケローニ監督
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キリンチャレンジカップ2012 日本1―0UAE
(9月6日 新潟・東北電ス)
 UAEはテクニックのあるチームで、仮想イラクとしてはちょうどいい相手だった。日本は1-0で勝利し、準備は整ったといいたいところだが、よくわからない点も多い。

 まず、懸案のセンターバック。前半は伊野波、後半は水本を起用している。これは前回のベネズエラ戦と同じだ。今回は吉田のパートナーを確定させ、コンビネーションを高めるために長い時間プレーさせると思っていたが、まだ決めかねているのだろうか。

 長谷部のコンディションが上がっていないのも気になった。その点では香川のプレーも不安定だったが、こちらはコンディションさえ整えば問題ないだろう。長谷部の場合は、試合勘を欠いているのが気になる。

 ハーフナーをフル出場させたのも意外だった。決勝ゴールを奪ったハーフナーは、もう2つほど決定機があった。クロスが合わない場面もあったが、長身のハーフナーがいたことで、いつもよりハイクロスを多く使って攻めていた。ハーフナーの生かし方としては、もちろんそれでいいのだが、イラク戦でも先発するのだろうか。

 UAE陣内で左右にパスを散らしながら包囲攻撃を行った日本だが、これまでになくテンポが良くなかった。相手のディフェンスラインの裏を攻略するつもりなら、1タッチ、2タッチのパスをつないでリズムを作らないと、前線の飛び出しとのタイミングが合わせにくくなる。足下でさばける前田がいない影響もあっただろうが、ハーフナーへのクロスをイメージしていたせいか、いつもの素早いコンビネーションがあまり出なかった。

 イラク戦では前田の1トップに戻し、そうすればコンビネーションも復活するのかもしれない。しかし、それならハーフナーで90分通す必要があったのか。それとも、ハーフナーを軸に攻め方を変えるつもりなのだろうか。(西部謙司=スポーツライター)

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