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【コラム】西部謙司

イラク戦に向けて

[ 2012年8月17日 06:00 ]

吉田と組むセンターバックは誰に?
Photo By スポニチ

キリンチャレンジカップ 日本1―1ベネズエラ
(8月15日 札幌ド)
 ベネズエラ戦は1-1で引き分け。ベネズエラは南米の中堅国だが、組織的なプレーをするチームで、仮想イラクとしては強すぎるぐらいの相手だった。

 ザッケローニ監督は「90分間継続できなかった」と話していたが、試合の大半は日本が押している。ベネズエラに引かれても、崩してチャンスを作っていた。このあたりはロンドン五輪のチームとはかなり差がある。

 本田圭祐、香川真司の2枚看板の存在は大きい。どちら も相手守備陣の隙間でパスを受けることができる。さらに前田遼一もいる。前線の3人が、いつでもパスを受けられるのは相手にとっては的が絞りにくい。マンチェスター・ユナイテッドが香川を獲得したのも、おそらくこの“間で受ける”能力を高く評価したからだと思われる。それだけ貴重な選手なのだが、日本代表にはさらに本田も前田もいるわけだ。

 中央にパスをつなげるので、サイドを空けるのは簡単だ。そこには駒野友一、長友佑都が走力を生かしてどんどん出て行ける。何度でも攻め直しができるし、相手に引かれても崩せる。現在のチームは史上最高レベルといっていい。

 W杯予選の次戦では、守備の中心だった今野泰幸が出場停止である。そこで吉田麻也のパートナーをどうするかが、ベネズエラ戦のポイントだった。前半は伊野波雅彦、後半は水本裕貴がセンターバックでプレーした。

 内田篤人と栗原勇蔵も出場停止だが、右サイドバックは駒野友一も酒井宏樹もいるので大きな問題ではない。栗原の欠場は、吉田のバックアップがいないだけなので、こちらもさほど影響はないだろう。ザッケローニ監督はセンターバックに速さのあるタイプと高さのあるタイプを組み合わせる。吉田は高さは十分だがスピードはあまりない。タイプからするとスピードのある水本が今野の代役に適している。

 ザッケローニ監督は“序列”がはっきりしているので、このチームで経験のある伊野波が先発したが、あまり良いプレーではなかった。水本は無難な出来だった。久々に代表入りした水本にはコンビネー ション不足の懸念はあるが、次戦(UAE)に水本が先発なら、序列は入れ替わり、水本がイラク戦でプレーすることになるはずだ。(西部謙司=スポーツライター)

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