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【コラム】西部謙司

五輪メンバー発表

[ 2012年7月5日 06:00 ]

五輪代表メンバー発表で会見する関塚監督
Photo By スポニチ

 ロンドン五輪に出場する男女の代表メンバーが発表された。なでしこジャパンのほうは、金メダルを狙う最強メンバーである。女子の五輪は年齢制限がなく、いってみれば男子のワールドカップと変わらない。女子サッカーは最高峰の大会が2つあるわけだ。

 一方、男子はU-23でOA枠を3つ使っていいという、何とも中途半端な大会になっている。過去にも五輪代表から多くの選手がフル代表入りしていて、その点では貴重な経験を積む場になっているわけだが、純粋に育成のための大会とも言い切れない。五輪期間中にもJリーグは開催している。1つのクラブから何人も五輪代表に招集するわけにもいかない。フル代表でU-23の選手もいるし、さらに外国のクラブに所属している場合もある。その中で香川、宮市は選出されず、清武や酒井宏樹は選出されていて一律ではない。このあたりは個々の事情で、ある意味配慮のきめ細かさがうかがえる。

 そういうわけで、五輪男子の選考はどうしても各方面に配慮しての、言ってみれば妥協の産物になる。その意味では、フル代表と五輪とJリーグ、さらに海外組の所属クラブとの交渉にあたった原博実技術委員長がキャスティングボードを握るキーパーソンだった。五輪に関しては各方面をつなぐ調整役が不可欠で、おそらく今後も重要なポジションになると思う。

 女子に比べると、目的も選考過程もわかりにくくなっているが、メンバーが決まった以上はその中でベストを尽くすしかしない。何とかグループリーグを勝ち抜いて、1試合でも多く経験を積んでほしい。(西部謙司=スポーツライター)

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