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【コラム】金子達仁

日本は強くなっている まだまだ強くなる

[ 2022年6月12日 07:00 ]

キリン杯   日本4―1ガーナ ( 2022年6月10日    ノエスタ )

<日本・ガーナ>イレブンとハイタッチする森保監督(中央)=撮影・小海途 良幹
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 ガーナに勝った。4点を奪って勝った。1失点は許したものの、組織に問題があったわけではない。4日前、日本の枠内シュートがゼロだったことを問題視する声があったが、前半のガーナはほとんどブラジル戦での日本と同じだった。彼らは何もできなかったし、そうさせたのは、日本だった。

 我ながら驚いてしまうのは、これほどの圧勝を収めながら、1ミリも驚いていない自分がいることである。

 わたし個人に関する限り、これはもう、完全な“ブラジル効果”というしかない。ブラジルをてこずらせる試合をやった以上、他の国には勝って当然、圧倒して当然と思うようになった自分がいる。それはどうやら、選手たちも同じだったらしい。

 彼らは、得点を奪っても冷静だった。中国やベトナムから点を奪ったときと同じぐらいに冷静だった。オーストラリア戦とは比べ物にならないぐらいに冷静だった。

 ブラジル戦を経験したいま、少なくともわたしは、アフリカの強豪を「ぬるい」と感じるようになっていた。きっと、選手たちもそう感じていた。

 ただ、冷静に考えてみるとこれはちょっと凄いことである。

 敵地だったとはいえ、ほぼ日本に圧倒される形で押し切られたガーナは、しかし、英国ブックメーカーのオッズでは日本よりもだいぶ上にランクされている。ベールを擁するウェールズより優勝のチャンスはある、とまで見られている。

 そもそも、前回のW杯で日本はアフリカ代表のセネガルには勝てなかった。8年前はコートジボワールにやられた。前半は頑張っても、後半はアフリカのパワーに押し切られる。敗因には必ず運動能力の差があげられる。それがブラック・アフリカと対戦する際の常であり、はっきり言えば、日本にとっては天敵に近い存在だった。

 それが、たった4年前のことなのだ。

 もちろん、親善試合とW杯とでは局面局面の強度に違いは出てくる。ただ、W杯に出場するどんな強豪国であれ、この日の日本ほどにガーナを圧倒するのは簡単な事ではないし、4年前までの日本にできる芸当では断じてなかった。

 パラグアイ戦、ブラジル戦で感じていたことが、このガーナ戦を経て確信に変わりつつある。

 日本は、強くなっている。

 技術的、戦術的な問題以前に、試合に臨むメンタリティーが違ってきている。アジア以外の世界を下から仰ぎ見た時代は終わり、戦う前から相手にのまれているようなことはほぼなくなった。パラグアイに、ガーナに圧勝したからといって狂喜する日本人もいなくなった。

 しかも、いまの日本代表は完成形にはほど遠い。というより、森保監督の頭の中にすら、確固たる完成形はないというか、ひょっとすると、まだ完成形自体を求めていないのかもしれない。決めるのは先。いまは模索の段階、とでもいうか。

 だとすると、4年前を思えば別次元の意識を持つようになった日本代表は、まだまだ強くなる。多くの選手が波に乗る中、一人苦悩し、空回りしていた久保に代表初ゴールが生まれたのも喜ばしい。これで肩の荷を下ろし、以前の奔放な姿を取り戻してくれれば、日本代表の攻撃には新たなオプションが加わることになる。(金子達仁氏=スポーツライター)

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