【コラム】金子達仁

川崎F連覇ないと踏んだが・・・わからなくなった

[ 2021年2月26日 12:00 ]

 これはわからなくなった――というのが正直なところだった。
 先週火曜日、スポニチのイベントに呼ばれた時点ではそうではなかった。何が起こるかわからないのがスポーツだけれど、フロンターレの連覇はたぶんない。割と強めにそう思っていた。
 昨季のフロンターレは強かった。Jリーグ史上最強といっていい。そして、おそらくは今年も強い。多くの試合で相手を圧倒するはず、とは思う。

 ただ、昨季のJリーグには降格がなかった。例年であればハナから勝ち点3の獲得を諦め、勝ち点1をあげることに執着してくる下位のチームが、優勝候補相手に比較的オープンな撃ち合いを挑む展開が珍しくなかった。こうなれば、勝つのは火力に優るチームに決まっている。

 今年は違う。4チームがJ2に転落する。となれば、絶対的な優勝候補と戦う際、ガチガチに守りを固めてくるチームが出てこない方がおかしい。そして、どちらかが一方的に攻める試合が引き分けに終わったとき、より大きなダメージを受けるのは攻め続けた側になる。

 というわけで、どこからもターゲットにされるフロンターレより、戦力が揃(そろ)っている割には前評判の高くないチームの方がチャンスはあるのでは、というのが先週火曜日の段階でのわたしだった。

 厳密にいえば、先週末、ゼロックス杯の前半が終わった時点でのわたしだった。

 前半が終わって2―0。ほらね、と思った。ガンバ相手にこれだけ強いところを見せてしまえば、今後の対戦相手の心理的なガードはより堅くなる。連覇はいよいよ厳しくなった。そう思った。

 ところが、そこからの展開がまったくの予想外だった。ポンポンとリズムよく2点を返して追いついたガンバは、その後も完全に主導権を握り、前年度のリーグ王者を自陣に釘(くぎ)付けにする時間帯を作った。結果的に、軍配は小林悠の劇的な決勝ゴールでフロンターレにあがったものの、どちらが勝っていてもまったくおかしくない内容だった。

 各チームの監督は、この試合をどう見たのだろう。

 前半の内容で試合が終わっていれば、これからの対戦相手も迷うことはなかった。仮に監督が指示を出さなかったとしても、選手たちの意識は守りから入る。先に点を取られたら厳しい、というところから入る。

 だが、後半に見せたガンバの反撃と攻勢は、やり方次第ではフロンターレを一敗地に塗(まみ)れさせることも可能なのでは、と思わせるものだった。となれば、ガチガチではなくドツキ合いを選択するチームも出てきそうで、これはフロンターレにとって願ったり叶(かな)ったりの展開かもしれない。

 わからなくなってきた。

 開幕戦をはじめ、いま、フロンターレのチケットがプラチナ化しているという。無理もない。欧州で無観客試合が続くいま、彼らのサッカーは世界屈指の娯楽でもある。チケットを手に入れた幸運な方は、思う存分に楽しんでいただきたい。胸躍るシーズンの開幕である。

 最後にサッカーとは関係のない話を――。

 「院政」を批判されて人事を撤回した方々が、最終案として「世襲」を出してこようとは。わからない。彼らの側が、わかってもらう必要などなし、と考えているらしいことはわかったけれど。(金子達仁氏=スポーツライター)

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