【コラム】金子達仁

現状の再確認にただ、ため息… 立場が盤石と言えるのは中島と柴崎ぐらい

[ 2019年3月28日 05:30 ]

<日本代表練習>試合前、円陣を組む鎌田(左から2人目)ら日本イレブン(撮影・坂田 高浩)
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 先週金曜日、ボリビアは蔚山で韓国と対戦し、同じスコアで敗れている。

 とはいえ、彼らがそれぞれの対戦相手について抱いた印象は、だいぶ違っていたはずである。韓国との0―1は、よくぞこの点差で収まったと感心するほど一方的に攻められた展開だったが、神戸での試合はそれほどでもなかったからである。

 もちろん、韓国は孫興民(ソンフンミン)を含めたフルメンバーで試合に臨んでおり、コロンビア戦から11人すべてを入れ替えて臨んだこの日の日本と比較するのは、いささかフェアではない。ただ、2つのチームと戦ったボリビアの選手たちの皮膚感覚としては、「韓国A代表は日本B代表よりもだいぶ強かった。けれども、フルメンバーに近づいてからの日本は相当に手強(てごわ)かった」といったところではないか。

 個人的には、だとしたら、苦いものが残る。

 フルメンバーであれば、世界のトップクラスとある程度伍(ご)していけるという自信は、おそらく、森保監督の中にも芽生えているはずである。ただ、まだまだ層は薄い。さらなる高みを目指すためには、昨年のW杯で活躍したメンバーはもちろん、新たな戦力の台頭も求められる。チームの熟成ではなく、発掘を目的としたメンバーでこの試合に臨んだのは、森保監督の期待の表れではなかったか。入れ替わった11人が韓国以上にボリビアを圧倒し、韓国以上のスコアで勝利を収めるというのが、森保監督の描いた理想図ではなかったか。

 だが、現実はそう甘いものではなかった。香川は、宇佐美は、乾は、小林は、中島や南野、柴崎や堂安ほどには相手に脅威を与えることはできなかった。アジア杯決勝、コロンビアと連敗していたこともあり、森保監督は勝つために動かざるをえず、そして、選手交代が勝利に直結した。

 つまり、この試合の勝利が意味するものは、すでにあったものの再確認であり、新しい発見はなかった、ということになる。厳しいようだが、この日先発したメンバーがそのまま顔を揃(そろ)えることは、もう二度とないだろう。

 もっとも、退屈だった試合に活気をもたらした交代選手にしても、現時点で立場が盤石と言えるのは中島と柴崎ぐらいのものかもしれない。

 鶏が先か、それとも卵が先か。とにかく、アジア杯で得点に恵まれなかったからか、いまの南野は昨年のいい時期に比べるとゴール前での落ち着きがずいぶんと失われている。堂安は依然として消えている時間が長い。本気でW杯でのベスト8以上を目指すというのであれば、いまの2人ではまったくもって物足りない。

 というより、ホームでの試合だったこと、最近のボリビアがかなり力を落としていることを考えれば、勝つだけでなく、快勝、圧勝をノルマとして自らに課すのが、W杯で上位を狙うチームではないか。

 正直、ほとんどの時間で退屈なサッカーしかできず、交代出場した主力の活躍でようやく勝ったこの日の日本から、志めいたものはまったく感じられなかった。チェッ。でもニヤリ。それがコロンビア戦だったが、今日は、ただただため息である。(金子達仁氏=スポーツライター)

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