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脱ハリル流で1号 闇に一筋の光りが差した

国際親善試合   日本4―2パラグアイ ( 2018年6月12日    インスブルック )

<日本・パラグアイ>前半、FKを放つ柴崎岳(撮影・西尾 大助)
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 この試合の結果が、内容が、本大会における何の担保にもならないことは、他ならぬ選手が一番よくわかっているはずだ。

 ついこの間までは、「練習試合と本番は違う」と自分たちに言い聞かせ続けていたはずだから。

 コロンビアとパラグアイは違う。日本と韓国が違うように、違う。観客席の景色も、テレビカメラの数も違う。決定機を外して笑っていられる余裕など、本番ではあるはずもない。だから、この快勝を無邪気に喜んではいけないことぐらいわかっている。わかっているが、それでも、無意味と片づけてしまうにはいささか大きな勝利だった。

 西野体制に代わってから得点のないことが批判されてきたが、その責任の大半は前任者にあった。相手の戦術やスタイルに合わせることに腐心しすぎたことで、チームとしての特徴を見失ってしまっていたからだ。

 だが、今日の日本は違った。おそらく、メディアの注目は2得点の乾に集中するだろうが、わたしにとってのMVPは柴崎である。低めのポジションから正確なボールをタテに入れようとする彼の姿勢が、チームに落ち着きと拠(よ)りどころをもたらした。わたしがコロンビアのペケルマン監督であれば、最大の警戒人物としてリストアップしておく。

 ただ、ここで肝になってくるのは、柴崎のポジションが「低め」だということである。相手がここを警戒してくれば、前への対処が甘くなる。香川なのか、本田なのか、それとも他の誰かなのか。とにかく、いわゆるトップ下に入る選手は、いままでよりも確実に仕事がやりやすくなる。

 もちろん、これだけ柴崎が輝きを放ってくれるとなると、改めて悔やまれることもある。前線にスピードスターがいたら、彼の能力はもっと発揮できただろうに、と…。

 ともあれ、わたしが何よりうれしかったのは、西野体制になって生まれた初めてのゴールが、昌子のパスから生まれた、ということである。

 前任者の時代、日本のDFに許されていたのは、守ることと蹴ることだけだった。ボールを持ったら前線に向けてドカン。西野監督がそのやり方を踏襲する人物であれば、この日の同点ゴールは生まれなかった。

 アギーレからバトンを引き継いだ直後はそうでもなかったが、基本、前任者はボールの保持を否定するタイプの監督だった。それが間違っている、とは言わない。W杯で結果を出すことを考えれば、より効果的なやり方なのかもしれない。

 けれども、何かの呪縛から解き放たれたかのように躍動し始めたこの日のチームを見ると、やはり、日本人が好むスタイル、志向するサッカーはハリル監督のやり方ではなかったな、と痛感させられる。

 ロシアでの日本が、グループで最も苦しい立場にあることに変わりはない。それはよくわかっているが、ただ、漆黒の闇に一筋の光明が差した気はした。

 このサッカーは、嫌いじゃない。(金子達仁氏=スポーツライター)

[ 2018年6月13日 14:10 ]

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