【コラム】金子達仁

この結果が、内容が悔しくないのか? 末期症状の日本代表

[ 2018年3月30日 05:30 ]

日本代表選手の宿舎を後にする中島
Photo By スポニチ

 サッカーは、内容が必ずしも結果に直結しないスポーツである。

 82年のW杯スペイン大会。大会のベストチームがブラジルであることは、衆目の一致するところだったが、カップを掲げたのはイタリアだった。

 だから相手を圧倒することを求めるのは無意味なのか。それとも、圧倒するチームの方が勝つ可能性は高いと考えるのか。これは監督によって意見の分かれるところである。

 日本代表の欧州遠征が終わった。中島にメドが立った以外は、収穫を探すのが難しい、それこそ発見するには顕微鏡が必要になるぐらい、得るところの少ない遠征だった。

 中でも気になったのは、選手たちから結果、内容についてショックを受けている様子が見られなかったことである。

 W杯出場を逃した2カ国を相手に、1回も勝つことができなかったのだから、本番で世界を驚かせてやろうと目論(もくろ)むチームであれば、大きな衝撃を受けていなくてはおかしい。

 だが、テレビで放送された選手たちのインタビューを見ていると、今回の内容や結果をある程度予想していたのでは、という気がしてきた。「うわっ!」ではなく「あ、やっぱり」。少なくとも、何が何でも勝たなければならない試合を取りこぼしてしまった悔いのようなものは、まったく伝わってこなかった。

 末期症状といわざるを得ない。

 内容で圧倒する、つまりボール保持の時間を長くして勝つチームをつくるためには時間がかかる。ハリル監督はそれを放棄した。

 代案として彼が提示したのは、「デュエル」なるフランス語と、「縦に速く」という概念である。2代続けてボール保持を重視する監督だったこともあり、このやり方を歓迎する人も少なくなかったが、何ということはない、20世紀の暗黒時代、日本サッカー界が必死になって否定し、脱却しようとしていたキック&ラッシュへの回帰でしかなかった。

 いまの日本代表選手のほとんどは、少年時代にバルサの黄金時代を体験している。ハリル監督が彼らの信頼を勝ち取るには、結果を出し続けるしかなかったのだが、その目論見は完全に破綻してしまった。

 ちなみに、ハリル監督が世界的に名を知られるきっかけをつくった4年前のアルジェリア代表は、14年に入ってからスロベニア、アルバニア、ルーマニアと親善試合を行い、すべて勝利を収めて本大会に乗り込んでいる。躍進の予兆は、準備段階ですでに表れていたのである。

 今回は、何もない。

 ボールはどこで奪うのか。リーダーは誰なのか。チームのストロング・ポイントはなんなのか。皮算用でもいい、勝利へのシミュレーションは?

 いまの日本代表を見て、答えられる人はいるのだろうか。いや、そもそもハリルホジッチ監督は、答えられるのだろうか。(金子達仁氏=スポーツライター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る