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エスカローニ監督代行による新生アルゼンチン代表

9月7日グアテマラ戦で指揮を取るアルゼンチン代表エスカローニ監督代行
Photo By AP

 去る9月7日、アルゼンチン代表がグアテマラ代表と親善試合を行なって3−0の勝利をおさめた。

 おそらく永久に消化できることのない不満を残す結果となったロシアW杯のあと、ホルヘ・サンパオリの後任もまだ決まらず、多くの課題を抱えたまま迎えたこの試合で采配を任されたのは、元アルゼンチン代表選手で現在U−20代表監督を務めるリオネル・エスカローニ。ユース時代からアルゼンチン代表のユニフォームを着てプレーし、97年U−20W杯優勝、A代表でも06年ドイツW杯に出場した経験を持つエスカローニは、サンパオリのもとでアシスタントコーチのひとりとしてロシアW杯に同行しており、3年前まで現役だった「若さ」から、潤滑にコミュニケーションが取れる存在として代表選手たちから頼られる兄貴分となっていた。8月にスペインのバレンシアで開催されたアルクディア国際ユース大会では、U−17代表監督のパブロ・アイマールをコーチに従えてアルゼンチンU−20代表を優勝させている。

 今年中にA代表監督の後任が決まらないことがほぼ確定している状況で、エスカローニは11月までに予定されている全ての親善試合で指揮を任されることになっているが、その最初の試合となるグアテマラ戦では「監督代行」というポジションとは思えないほどの(いや、ともすれば代行だからこそできた)思い切った采配を行なって話題を呼んだ。なんと一気に11人もの選手をA代表でデビューさせたのだ。

 エスカローニによって初めてA代表としてプレーしたのは、GKのヘロニモ・ルリ(レアル・ソシエダ所属)、DFのレンソ・サラビア(ラシン)、アラン・フランコ(インデペンディエンテ)、ワルテル・カンネマン(グレミオ)、MFのエセキエル・パラシオス、ゴンサロ・マルティネス(共にリーベルプレート)、フランコ・セルビ(ベンフィカ)、サンティアゴ・アスカシバル(シュトゥットガルト)、フランコ・バスケス(セビージャ)、マティアス・バルガス(べレス・サルスフィエルド)、そしてFWのジオバンニ・シメオネ(フィオレンティーナ)。ひとチーム丸ごと一新したと言ってもいい人選となっている。

 アルゼンチン代表で一度にこれほど多くの選手がデビューすることは珍しい。09年5月に行なわれたパナマとの親善試合で、当時監督だったディエゴ・マラドーナが14人もの選手を一気にA代表デビューさせたが、あの一例はあくまでも大胆なマラドーナならではの出来事であり、代表強化のプロセスにおいて計画的に行なわれたものではなかった。

 では今回、監督代行を務めるエスカローニが11人もの選手を初めてA代表でプレーさせたことは計画的だったのか。指導者こそ異なるものの、選手たちの顔ぶれを見れば、本来もっと早くA代表で出場のチャンスを与えられていても不思議ではなかったことがわかる。と言うのも、ヘラルド・マルティーノが代表監督だった頃、ルリ、セルビ、アスカシバル、シメオネらは当初リオ五輪代表のメンバーとして招集されていたのだ。

 例えばシメオネの場合、15年に行なわれたU−20南米選手権で9得点をマークしてアルゼンチンの優勝に大きく貢献したが、その後A代表でプレーする機会には恵まれていなかった。FWの人材を持て余すアルゼンチン代表においてポジション争いは過酷だが、それだけにグアテマラ戦でチームの3点目となる見事なドリブルゴールを決めた時には喜びを爆発させた。

 また、デビューした11人以外にも、この試合ではリオ五輪のメンバーとして選ばれていた選手が起用されている。そのうちのひとりであるロ・チェルソは、ロシアW杯直前までサンパオリ前監督からレギュラー扱いされながら本番では一度も出場機会を与えられなかった。グアテマラ戦では先発メンバーとして90分間プレーし、欧州でさらに磨きをかけた持ち前のパス能力でチャンスを作っただけでなく、豪快なシュートからアルゼンチンの2点めとなる得点をマーク。人々の間で「なぜロシアW杯で試合に出なかったのか」という疑問が掘り返されるほどの活躍を見せた。

 マルティーノ監督が采配を担うはずだったリオ五輪代表にはマウロ・イカルディとパウロ・ディバラの名前もあり、この二人もまたエスカローニ監督代行によって今回の親善試合のためにメンバー入りしていて、グアテマラ戦には出場しなかったが、9月11日のコロンビア戦でプレーすることが予想されている。つまり、もしあのままマルティーノのチームが五輪に出場していたら、アルゼンチンA代表はロシアW杯の前に世代交代を遂げていたかもしれないのである。特に人材不足が囁かれた中盤において、同じく「幻のリオ五輪メンバー」でありグアテマラ戦でプレーしたレアンドロ・パレデスやアスカシバルは、もっと早い段階で代表でのチャンスを与えられても良かった。

 エスカローニ監督代行による新生アルゼンチン代表は、2年前に通過するはずだった分岐点に戻る形で出発を図った。来月にはブラジルとの親善試合も予定されており、監督が正式に決まるまでの間、ようやく訪れた出場機会で実力をアピールする選手たちの好プレーに期待したい。(藤坂ガルシア千鶴=ブエノスアイレス通信員)

[ 2018年9月11日 13:50 ]

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