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イタリアW杯事情 不出場も地上波無料放送

ベルギー戦最後のCKに関して、カペッロ氏らに批判された日本代表MF本田圭佑
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 全試合が生中継。バールというバールの軒先にはTVが設置され、どんな試合にも1、2人は必ず試合を観ている。イタリア代表の試合になればそこにたくさんの人が集い、私設パブリックビューイングが出来上がる。大きい街では、中心街の広場に大型のスクリーンも設置される。イタリア代表で盛り上がるのはもちろんのこと、別のカードでは当該国の外国人がスクリーンの前のスペースを占拠して盛り上がる。通りに面した家やアパートの軒先には三色旗が飾られ、そしてアズーリ(イタリア代表の呼称)が準々決勝以上に勝ち進めば、試合後に通りという通りでは大騒ぎ。それこそ2006年にドイツW杯で優勝した時は、全ての街の通りという通りに人が繰り出し、夜通し歌って踊り狂っていた。

 それがW杯の時のイタリアの姿だった。だが欧州予選のプレーオフでスウェーデンに敗れ、1958年大会以来の予選敗退となってしまった本大会では、まあなんとさみしくなったことか。テレビを特別に表に出すバールはほとんどなく、軒先に三色旗が飾られることはなく、アズーリのレプリカユニフォームを着て街を闊歩する若者などいるはずもない。W杯のないイタリア。欧州選手権があるからロスは2年すれば解消されるのだが、火が消えたような街の雰囲気を見るのはやはり心が痛む。

 しかし、このサッカー大国の深さをなめてはいけない。それはそれとして、イタリア人はサッカーというスポーツを深く愛しているのである。

 今回、W杯のイタリアの放映権は民放TV局メディアセットが一社独占で獲得した。しかも、有料の地上波デジタルチャンネルを持っているにもかかわらず、全試合を地上波で見せるという気前の良さだ。その結果、イタリアがいないという状態にも関わらず思いのほか、成功を収めているのだという。視聴占拠率はこちらの時間で昼に開催される試合でも25%を超え、他のコンテンツが多くなる夜8時台からの試合でも28%を超えた。試合が終わればすぐ特集番組が始まり、サッカー界の大物ゲストが呼ばれスタジオでリプレイを流しながらああだこうだと意見をかわし合う。イタリアがいないにも関わらず、それで番組を成立できるのが恐ろしいところだ。

 元イングランド代表監督のファビオ・カペッロ氏などがゲストに呼ばれて、日本VSベルギー戦後に「「私が監督なら本田の首根っこ捕まえて怒ってるところだ。もう延長が見えるところで、なぜGKに易々取られるボールを蹴る?なんでCKスポットの近くで時間を稼がなかった」ということを、それこそ自分がベンチにいたかのように熱く話すわけである。

 おかしいのは翌朝、街であったイタリア人もみな同様のことを言ってきたということだ。「勿体無い、なんで攻めたんだよ」「ファウルで止めりゃよかったじゃん」ととてもがっかりした表情をしてである。ザッケローニ氏は地元紙に寄せた手記の中で「ずるさの欠如」とつづっていたが、そういった意識を一般のサッカーファンも共有していたのが凄いところ。それ以前に、伝統国の絡まないカードの試合でも一生懸命観るものである。そういえば日本VSセネガル戦の時は、#GiapponeSenegalのハッシュタグが1位を達成していたっけ。

 ちなみに日本戦を観ていた人からは「日本は良いチームだった」という感想をもらった。以前森本貴幸(現J2福岡)が所属していたカターニアの地元記者いわく、イタリアが出ないから昔のよしみで日本を応援しようという地元ファンも多かったとか。そしてもちろん、日本のサポーターも代表チームも会場の清掃をやったことは、サッカーに詳しくないような人の胸も打った。

 共同経営者として育成クラブを運営する知己のサッカーコーチは、「育成年代から教育として教えられているということなら、うちのクラブにも来てもらいたい。教育の欠けたいまの子供らに手本として見せたい」とも言っていた。彼らの心に響くパフォーマンスをピッチ内外で繰り広げた日本代表の選手たちとサポーターを誇らしく思う。それと同時に、サッカーファンとして関心を払い、良いところは良いと評価をしてくれるイタリアの人々の懐の深さに改めて感服するものである。(神尾光臣=イタリア通信員)

[ 2018年7月7日 07:00 ]

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