【コラム】海外通信員

海外移籍 語学習得は成功をするための条件

[ 2018年3月26日 06:00 ]

 「英語ができるようになりたい。日本にいる間にどのような準備をしておくべきでしょうか?」と海外クラブへの移籍を意識しているサッカー選手から相談を受けることが増えてきている。これまで海外で出会ってきたサッカー選手の話を踏まえ、語学を学ぶ際に大切にすべきことは「ひるまないこと。日々勉強。そして環境に馴染む。」の3点であると伝えている。

 日本の中高で英語を学べば読み書きに関してはある程度の力がついている。しかしながら、会話の力が欠如していることが大抵である。「サッカーの話なので監督が言いたいことはだいたい理解できている。けれども今の英語の実力では伝わらないのではないか。とりあえず黙っておこうかな」と怯んでしまう話はよく聞く。それではチームに溶け込むことは難しい。

 プレミアリーグに移籍をするとチーム合流初日に自己紹介をかねて一曲アカペラで歌わければならない。プレミアリーグで活躍する吉田選手、岡崎両選手もとっておきの曲を披露し新しいチームメイトの心を掴んだようである。その場面で恥ずかしがっている選手は、ピッチ上でもやはり自己主張がうまくないようだ。

 また年齢が上がるにつれて外国語の壁を高く感じる傾向にある。10代後半から20代前半に新しい言語に挑戦することは選手や監督としてもサッカー選手としてのキャリアの可能性を広げることになる。マンチェスターUのモウリーニョ監督などは5ヶ国以上の言語を操る。アーセナルのヴェンゲル監督も「若い頃にひとつの言語を習得すれば、その次の言語は非常にスムーズに学ぶことはできる」とその重要性を語っている。

 語学習得は一朝一夕ではない。日々勉強とはトレーニングのようなものである。筋トレをしているのは本番の試合で活かすためであり、勉強したフレーズを発して相手に伝える環境を作りたい。名古屋グランパス在籍時、吉田選手は「その日に勉強した英語のフレーズを、当時のFWであるヨンセンに毎日試していた」ことで、その英語を自分のものにしていたようである。自分が発音できない単語は、相手がその単語を発してもうまく聞き取れないそうだ。ここ数年はオンライン会話クラスなどのサービスが充実してきており非常に効果的な準備になるだろう。

 海外移籍に向けてせっかく日本で準備万端としても移籍先の環境に馴染めなれければ結果はでない。イタリア、ペルージャの中心街を歩けば、いまでも中田英寿の逸話を街の人から聞くことができる。ファンの一人が「ヒデがすごいのは、この街にすぐに馴染みペルージャの方言を流暢に喋っていたことだ」といまだにクラブのレジェンドとして愛されていることが伝わってくる。オフの日は街を歩き、食生活などその土地の習慣や人々に馴染むことも重要だろう。日本との違いに苛立つのではなく、それを楽しめるくらいの心の余裕とたくましさが必要だ。

 語学を習得すればサッカー面で成功するとは限らないだろうが、人々の記憶に残るほどの成功をするための条件に語学習得が含まれることは確かであろう。これまで約20年の間に海外挑戦をしてきた日本人サッカー選手が示してきた通りである。(ロンドン通信員=竹山友陽)

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