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【コラム】海外通信員

久保裕也、巻き返しへ チームは新体制で上昇傾向

[ 2017年10月29日 09:00 ]

9月27日、辞任したヘント・ファンバーゼブルーク前監督
Photo By スポニチ

 久保裕也が試合後に屈託のない笑顔を見せたのは久しぶりだった。

 10月24日のリーグ戦、ヘント対オイペンで久保は試合開始3分で先制点をマーク。その後チームは2つのPKで2点を加え、3-0で快勝した。「前半の早い時間帯に点が取れたので流れが来たかなっていう感じはしますね」と試合後の久保。その流れを引き寄せたのは、他でもない、久保自身のゴールだったわけだ。

 この快勝でヘントは12位まで順位をジワリと上げてきた。そう、12位。ヘントは今季苦戦が続いていたのだ。

 ヘントは今季開幕前、2014-2015シーズンにクラブをリーグ優勝に導いたヘイン・ファンバーゼブルーク監督との契約を延長。大きな野心を持ってシーズンに入った。しかし、ヨーロッパリーグの予備選で敗退。本戦出場を逃した辺りから完全に歯車が噛み合わなくなる。リーグ戦でも勝利が遠のき、完全に低迷してしまった。

 そして9月27日にファンバーゼブルークが辞任。10月4日に新監督として、イフェス・ファンデルハーゲが就任した。

 新体制がスタートしたとなれば、久保は改めて新監督に自らをアピールしなければならない。新体制一試合目となったのが、10月14日の土曜日に行われたワースランド・べフェレン戦。代表に行っていた久保がチームに戻ってきたのは木曜日だっただけに、「試合に出れるかな、という感じで帰ってきたので」と本人も新しい体制の中でどういう立場になるのかわからない状況だった。だが、先発フル出場。自身に得点はなかったが、チームはカルーの2得点で2-0と勝利した。「90分使ってもらったというのはすごい良かったですし、欲を言えば点が取れればもっと良かった」。

 続く10月21日のコルトライク戦でも先発出場した久保だったが、この日も得点はなし。後半19分にウインガーのカルーと交代している。

 「前回、カルーが2点取ってたんで。僕が早い段階で結果出てないと替えられるなという気はしてたので。それでかなと思います。もうちょっと出たかったですけど。前半とか出てる間で見せないと替えられる立場にいるんだというのが分かりました」。

 久保が退くまでは1-0でリードしていたヘントだったが、後半29分に失点して、1-1の引き分けで終わっている。

 ワースランド・べフェレン戦、コルトライク戦と先発し、久保が使われている間はとりあえずチームとして結果が出ている。だからこそ、今、目に見える結果が欲しい。そんなタイミングで迎えたオイペン戦だったのだ。

 そんな中で電光石火の先制点。チームは3-0の快勝。久保はフル出場だった。欲しかった結果を、ここ一番で出してみせた。

 縦に速い攻撃を好むファンデルハーゲ新監督体制で、久保がトップ下のポジションで先発したのは初めてだった。

 「トップ下の方が今はやりやすいかなと思いました。今はカルーとサイモンだと、両サイドが突破できるので、僕が中で勝負できるのは、その方がやりやすいかなと思います。まだちょっとミスが多いですけど。でも、久しぶりにトップ下だったので。良い感覚でできたと思います」。

 新体制になって、これで2勝1分け。前監督時代末期は、雰囲気が「悪かったです」と久保。。「まあ、それは負けていたら当然のことだと思います。今は少しずつ良くなっています」。

 新体制が何とか順調に滑り出した。ここから久保のヘントの巻き返しが始まるか。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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