【コラム】海外通信員

森岡亮太 今季のベルギーリーグ最大の発見

[ 2017年8月16日 06:00 ]

ベルギー1部リーグ メヘレン戦の前半、移籍後初ゴールを決め喜ぶワースランドベベレンの森岡亮太
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 ベルギーリーグが7月末に開幕。当初注目度が高かったのは、昨シーズンの活躍も記憶に新しいヘントの久保だが、ロケットスタートを決めたのは、森岡亮太だった。

 この夏にポーランドのシロンスク・ヴロツワフからベルギー1部、バースランド・ベベレンへと移籍した森岡は、開幕戦にスタメン出場。強豪ヘンクとのアウェーゲームで4−2−3−1のトップ下に入った。いかにも日本人好みのファンタジスタの系譜に連なるプレーを披露する森岡は、柔らかいテクニックとクリエイティブなパスを駆使してチャンスを作っていく。そして前半45分に、タイミング、強さ、コースと完璧なスルーパスを通し、右サイドから裏に走り込んだミニがGKと1対1となり、シュートを決めた。

 先制したワースランド・ベベレンは後半立ち上がりにもゴールを決めて2点先行。しかし、ヘントが選手交代を重ねながら息を吹き返し強豪の維持を見せたことで、3−2と逆転された。だが、後半ロスタイムにFWガノのゴールが決まり、試合は3−3の引き分けに終わった。

  アシストの場面について「自分の特徴というか、それが出たシーンかなと思いますね」と試合後の森岡。「あそこのああいうパスですね。ラストパス。GKと1対1を作るパスというところ。きょうも何回か狙っていましたけど、そこは常に狙っているシーンですね」

  試合中の各場面や試合の流れといったことを冷静に、かつ朗らかに淡々と振り返る森岡から気負いは感じられず、ごく自然体だ。森岡は26歳と選手として成熟する時期に差し掛かっている。ポーランドでやっていた経験も大いに活きているのだろう。開幕戦にして、極めてスムーズにベルギーリーグに適応していた。

 ベルギーリーグは楽しめそうですか、と問うと「楽しいです。楽しい」と即答だった。「やっぱり、ポーランドではどうしても、ガチャガチャするというか。ボール持って、良い関係性とかもないですし。あんまり。どうしてもサッカーでっていうよりかは、フィジカルでっていう感じが強いんですよ。ベルギーはやっぱり、みんな繋げ繋げって言う。二人の関係の中で、ワンツーだったりとか、そういうところでしっかりサポートするイメージを持ってくれているので。楽しいです」

 この日の試合の相手であるヘンクはベルギーリーグでも強豪チームのひとつ。ティボ・クルトワ(現チェルシー)やケビン・デブライネ(現マンチェスター・シティ)といった選手たちを輩出したクラブとして欧州中クラブのスカウティング対象になるチームでもある。「そうですね、でもだって、昨年ヨーロッパリーグでベスト8かなんかですよね。そういうチームとできるって良いですよね。なんか、これがヨーロッパリーグベスト8に入るんや、みたいな。下に見ているとか上に見ているとかじゃなくて、そのレベルを今、実際に体感しているんだって。アシストできたし。そういうのは自分の立ち位置というか。明確になってくるという楽しみもベルギーリーグはありますね」

 サッカーだけではなく、環境に適応する上でもポーランドの経験は活きている。「ポーランドのときと比べると、だいぶすんなりではありますけどね。ポーランドは初めて(日本から)出てきたというのもありますし。冬(の移籍)っていうのもありました。最初は、えっ、っていうところはありましたね。全く言葉が喋れなかったんで。それこそ英語も。向こうの人ってベルギー人より全然(英語は)喋れないんで。僕も全然ゼロやから。聞き取れへんし、キツかったですね気持ち的にも」

 そんな経験があるからこそ、ベルギーは楽だなと感じるという。

 「町も良いですしね。ベルギーは小さいじゃないですか。それがめちゃ良いですよね。例えば別の国に行くにしても、オランダ近いドイツ近いフランス近い。車でどこでも行けるじゃないですか。ブリュッセル、ヘントとかも30分40分、アントワープなんて15分。 遠征も、今日だって遠い方じゃないですか。でも当日移動で1時間半で試合する感じとか。いやー、いいですね、ベルギー(笑)。ポーランドは前泊です。めちゃ遠いんですよ。一番近いところで1時間とか。遠いところは8時間」

 早々にベルギーリーグにもチームにも馴染んだ森岡は、それを証明するかのごとく第2節で2ゴールを決めてみせた。このメヘレンとのホームゲームは2−2に引き分けだったが、森岡の評価と注目度はうなぎ登りだ。

 8月8日には、バースランド・ベベレンのフィリペ・クレメント監督が森岡について、地元メディアのスポルツァに語っていた。

 ワースランド・ベベレンは長く森岡の動向を追っていた。クレメントも、「私は彼のいくつかの試合のビデオを見た。すぐに彼の才能は分かった」とスポルツァに語っている。「彼にフットボール・クオリティがあることはすぐに分かった。ただ、まず彼と話をしたかった。なぜなら、日本人の選手たちにとってヨーロッパに適応するのが時に非常に難しいということが過去に見られたからだ」

 「私はロッカールームや会話の中で彼がどう振る舞うかを知ることが大事だと考えた。私はすぐに彼が非常にオープンだと気づいた。彼は上手く英語を話す。素晴らしく流暢ではなくとも。彼は最初の日から適応した。彼はロッカールームでのすべての会話に入ってくる。ピッチでも個性を持っている。彼は、もし改善すべき点があればそれを言う。そういうことをしてくれる選手がいるのは、嬉しいことだ」

 ポーランドからやってきた日本人。しかもワースランド・ベベレンはアントワープに近い小さなクラブだ。当初の注目度は低かった。だが、4−2−3−1のトップ下、王様として2試合で認められた。今季のベルギーリーグ最大の発見。森岡はそんな存在になりつつある。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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