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J2甲府から“禁断の移籍”で加入した鹿島DF須貝 背水の陣で日本代表まで成り上がる

[ 2023年7月28日 09:55 ]

26日、甲府から加入して早速練習試合に出場したDF須貝
Photo By スポニチ

 主将を務めていたJ2甲府から鹿島に加入したDF須貝英大(24)がチーム合流初日となった26日、筑波大との練習試合にいきなり出場した。練習試合は45分3本の予定だったため、取材陣も「3本目で須貝を見られたら」という気持ちだったが、主力組が出場した1本目に「背番号16」を見つけた。慌ててカメラを構え“鹿島デビュー”を追った。

 須貝は4―4―2の右サイドバックで先発。45分間のプレーのみだったが、積極的な攻撃参加で持ち味を発揮。ただ、合流間もないこともあって、ボールタッチでは固さも見え、クロスも精度を欠く場面もあった。「自分自身まだまだと感じている」と反省点が多かったといいつつも「強度のところは高いと思いました。体を張るし、最後のところで足を出すし、そこはすごいと思いました。スピード感にはしっかりと慣れていきたい」と初めてのJ1クラブでの練習を充実の表情で終えた。

 練習後、あらためて須貝に話を聞いた。もう少し聞きたいことがあった。移籍のことについてだ。

 地元クラブでもあるJ2甲府では今季から主将を務め、秋にはクラブ史上初となるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も始まる。J1昇格争いでも好位置に付ける中での異例の移籍だった。甲府時代には「ナイスガイ(須貝)」とも言われていた男は、今回の移籍についても率直に語ってくれた。

 「正直、迷って決断した。でも、この決断が良かったというのは自分が活躍することで、この道が正しかったと証明できる」と葛藤があったことを包み隠さずに語った。
 
 SNS上では“禁断の移籍”について様々な意見も飛び交った。甲府側のリリースには佐久間悟社長も「青天のへきれき」「断腸の思い」とコメントを付け加えるなど甲府にとっても今回は痛恨の移籍だったことがうかがえる。

 「(移籍は)迷ったんですけど、甲府への思いを持ちながらプレーするというのは違うと思う。鹿島に来た以上は、鹿島のためにタイトルのためにやるべき。それが最終的には甲府への恩返しにもなる。悩みがある中でしっかりと考えて決めた。しっかりやりたいなと思います」と気持ちの整理は付いているようだったので少し安心した。

 自身のプロキャリアでは初めてのJ1の舞台になる。特に鹿島のサイドバックは日本代表も輩出していることもあって、日本のトップレベルで揉まれることでゆくゆくは日の丸にも意欲を見せる。

 「代表はプロサッカー選手である以上は狙っている。J1で活躍することで夢が実現されると思っている。まずはスタメンで出ないと意味がないので、チームの勝利に貢献できるように本気でやっていきたいです」

 帰り際、記者も同郷だと明かし、今回の移籍について山梨県民としての“思い”も伝えた。そのことについても少し言葉を交わしたが、いろいろな意見があることも承知していると重ねて須貝は言った。異例の移籍となったが、全てを飲み込んだ上で鹿島で大成したいという決意がにじむ。「より厳しい状況に自分を置くことでレベルアップにつながる」。背水の陣の覚悟を須貝の表情から感じ取った。(記者コラム・河西 崇)

 ◇須貝 英大(すがい・ひでひろ)1998年10月27日生まれ、山梨県中央市出身の24歳。浜松開誠館高から明大に進学。大学時代にも主将を務め、鹿島のGK早川や札幌のFW小柏らが同期。豊富な運動量が持ち味で今季はJ226試合に先発出場して3得点。1メートル72、67キロ。利き足は右。背番号は16番。

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