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米サッカー界に衝撃 死亡した元プロ選手は慢性外傷性脳症 MLSでは初の認定

[ 2022年6月29日 12:08 ]

1999年、試合中に相手選手と激突して鼻から出血したバーミリオン(AP)
Photo By AP

 米ボストン大の「慢性外傷性脳症(CTE)センター」は28日、米プロサッカーリーグ(MLS)で4年間プレーし、薬物の過剰摂取で2020年12月25日に死亡したスコット・バーミリオンさん(享年44)がCTEだったことを明らかにした。

 CTEは米プロフットボールリーグのNFLではかねてから問題となっていたが、MLS在籍の元選手が頭部への衝撃が繰り返されることで発症するCTEだったと診断されたのはこれが初めて。CTEセンターの所長を務めるアン・マキー医師は「今回のケースはサッカー選手にはCTEのリスクがあるということを証明している。従って治療が必要な人たちを特定しなくてはいけない」と語っている。

 バーミリオンさんは5歳からサッカーを始め、U―17とU―20では米国代表。しかし2001年に故障がきっかけて引退したあとは精神的に不安定な状態に陥り、記憶を失うといった症状が出ていた。その結果、薬物に頼るようになり、その過剰摂取で死亡。CTEだったという報告を受けた父デーブさんは「この病気が家族を崩壊させてしまった。願わくばこれがサッカー界への警告となって、同じような症状を抱える元選手への助けになってほしい」と語っている。

 これを受けてMLSの選手会は「脳振とうを引き起こした選手に対して医学的な診断を受ける時間が与えられていない」としてリーグ側に対して選手交代に関する現行ルールを改善をするように要望。脳振とうの専門機関「コンカッション・レガシー財団(CLF)」の共同設立者でハーバード大出身のプロレスラー、クリス・ノインスキー氏(43)は「認知症と繰り返されるヘディングがリンクしていることはすでに英国のプロ選手のケースで証明されている。とくに若い選手の間でヘディングをどうするのかの議論を、世界的に進めていく時が来ている」と語っている。

 CTEは複数回の頭部への外傷に起因する進行性の脳変性疾患。うつ、衝動的な行動、記憶障害、運動障害などの症状がある。ボクシング界では1920年代からその存在がわかっていたが、最近ではNFLの元選手に多数の患者が見つかり社会問題となっていた。

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