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梅山修氏 持ち越されたJ2新潟昇格、自分たちのスタイル貫き成熟を

[ 2021年11月5日 05:30 ]

J1昇格を逃し厳しい表情のJ2新潟・アルベルト監督(撮影・渡辺直美)
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 【元アルビ・梅山チェック】J2新潟はホームに首位磐田を迎え、負ければ今季のJ1昇格が絶たれる可能性を含んでいた重要な一戦は、0―1。目標の実現は来季に持ち越された。

 「ボールを保持して主導権を握る両チーム」と形容されることもあったが、この試合では、よりボール保持にこだわる新潟に対して、磐田がどの位置からどのようにボールを奪いにいくのか注目していた。

 というのも前回7月に対戦した時、磐田はボール保持にはこだわらず、自陣に引き込んでカウンターを繰り出し、新潟は前半だけで3失点している。この日の試合の入りも、高い位置からプレッシャーをかけるというより、中盤以降で構える姿勢を見せた。

 一方、新潟もボールの動かし方に工夫が感じられた。守備時は最終ラインに5人、その前に4人が並ぶ磐田の守備に隙があるとすれば、ライン間のスペース。そこを起点にするために長谷川と田上の両SB(サイドバック)がタッチラインまで広がり、その前に位置する小見と三戸の両SH(サイドハーフ)が内側にロールする。あるいは高木、鈴木が入る、というローテーションの動きから何度もそのスペースに縦パスを入れ、崩そうとする強い意志を感じた。ただ、そのエリアから先、つまりペナルティーエリア内にどうボールを入れていくかの具体的なイメージの共有は今後の新潟の課題と言えるだろう。

 ここまでの課題という意味では、流れの中からの得点にとどまらず、セットプレーからの得点も意識したいところだ。一般的にセットプレーからの得点の割合は30%程度が平均的。だが、新潟は序盤戦は約34%だったが、中盤戦の14試合は約6%に低下。現時点で約21%と向上の余地がある。また、ボール保持を志向するチームの肝は、攻守の切り替え、特に攻から守への切り替えの速さ。これが得点が最も生まれる瞬間であることも意識したいところだ。

 目先の結果よりも自分たちのスタイルと精度の深化に集中するという視点に立てば、残りの試合の価値も変わらない。またこの期間の生かし方次第で、来季に向けていち早くスタートを切れるとも言える。

 今季のJ1昇格というチームの目標は絶たれた。だが、個人の目標やプロ選手としての矜持(きょうじ)まで失われたわけではない。学びと成長に終わりはないし、サッカーが終わるわけでもない。(元アルビレックス新潟DF)

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2021年11月5日のニュース