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J2京都・通訳の岡本剛人さん “正確”ではなく“正解”の通訳目指し奮闘中

[ 2020年9月16日 06:00 ]

ヨルディ・バイス(左)とウタカ(右)に通訳するJ2京都の岡本通訳(C)KYOTO.P.S.
Photo By 提供写真

 MFアンドレス・イニエスタ、FWオルンガ、FWピーター・ウタカ……。Jリーグで絶大な力を見せつける外国人選手の傍らには、常にメッセンジャー役を担う通訳がいる。J2京都の岡本剛人さん(40)もその1人だ。

 02年夏、日韓W杯の熱狂が冷めやらぬ頃、京都外大4回生だった岡本さんはサッカーの世界に飛び込んだ。「大学でポルトガル語を専攻していたんです。その時、京都にサナブリアというパラグアイ国籍の選手が加入することになって、彼はスペイン語とポルトガル語を交えて話すので“やってみないか?”と推薦されたのが始まりです」。自身もサッカー経験者。01年にはブラジルへ語学留学も経験した。京都府サッカー協会や京都サンガともツテがあった京都外大サッカー部の先生から推薦され、このチャンスをつかんだ。

 岡本さんはポルトガル語だけではなく英語も堪能。パウリーニョ(05~09年)やシジクレイ(08~09年)らブラジル人だけではなく、英語を操るボスコ・ジュロブスキ監督(18年)の通訳もした。現在はウタカとヨルディ・バイスを担当。通訳は選手の言葉を“そのまま”訳せば良いだけではないと強調する。

 「選手に乗りうつる“憑依(ひょうい)型”の方法もあって、僕も選手と同じ感情で表現するけど……聞いてもらえないとアカンと思うんです。相手に耳をふさがれたら意味がない。こういうふうに言った方が伝わりやすいというのがあるなら、そう言うようにします」

 自らの伝え方一つで相手の持つ認識や感情が変わる。外国人が伝えたいニュアンスや人柄を変更せずに、日本人向けに言葉のチョイスを変更することも必要。正確に伝えることが正解ではないと考える。その微妙なさじ加減をなすのに必要なのが「外国籍選手の持つ信念やサッカー観、バックボーンを知ること」(岡本通訳)だ。仕事場以外の「普段の会話の中で彼を形成するキーワードがある」という。担当する外国人を深いところで理解することは、通訳の仕事としての第一歩だ。

 ◆岡本 剛人(おかもと・よしと)1979年(昭54)10月20日、兵庫県出身の40歳。須磨友が丘高から京都外大に進学。03年に京都サンガへ入社した。現在も通訳としてチームを支えている。

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2020年9月16日のニュース