元なでしこエース永里優季、世界も驚く“男子チーム移籍”「女の子に一つの選択肢を」

[ 2020年9月11日 05:30 ]

はやぶさイレブンの入団会見に出席したFW永里優季(中)。左は妹の亜紗乃、右は兄の源気(撮影=井上 侑香)
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 米女子プロリーグNWSLのレッドスターズに所属する元女子日本代表FW永里優季(33)が10日、神奈川県社会人リーグ2部「はやぶさイレブン」に期限付き移籍することが決まった。現役の女子選手が男子チームでプレーすることは極めて異例。永里は神奈川県厚木市内のホテルで入団会見を行い、長年の夢だった男子とのプレーに自信も見せた。背番号は17に決定した。

 小学生時代に思い描いた将来の夢は「Jリーガーになること」――。永里が究極の夢への初めの一歩を踏み出した。なでしこジャパンの一員として11年W杯ドイツ大会で世界一に輝いた経験を持つ33歳は「ポジショニングや細かい駆け引きは海外で磨いてきた部分。通用すると思っている」と力強く宣言した。

 異例の決断に至った背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響があった。今季のNWSLはコロナ禍のため短期開催となり、7月に終了。以降のスケジュールは未確定で、「そういった状況に疲れてしまった。自分がモチベートされる環境に行ってみたかった」という。「昔から男子のチーム、リーグでプレーしたい思いがあった」ため「はやぶさイレブン」に所属する兄・源気に相談。兄は「フィジカルの部分で難しさはあるかもしれないが、永里優季なら男子チームでもプレーできるのではと思った」とクラブ関係者に報告し、異例の挑戦につながった。

 アスリートとしての社会的価値を高める挑戦でもある。刺激となったのが、米国代表FWミーガン・ラピノーだ。かねて男女米国代表の賃金格差を訴えるなど、女性の地位向上のために尽力する姿を目の当たりにし「彼女の姿を見て、私も社会に価値を与えられるアスリートにならないと、と思った」。サッカー界の反響は大きく、欧州サッカー連盟(UEFA)の女子チャンピオンズリーグ公式ツイッターは「歴史に残るレンタル移籍」と伝えた。社会的関心を集める中、永里は「男性のチームで女性も活躍、挑戦できるというメッセージになれば」と訴えた。

 プロ契約の女子選手が男子の社会人チームでプレーするのは初めてだという。契約期間は今年末までの約4カ月間。

 「女の子で男の子に交ざってサッカーをやっている子の一つの選択肢をつくってあげられるかな」

 子供の頃に抱いたあの夢に向かって。なでしこの未来も背負って、永里が重たい扉を開いた。

 《デビューは10月以降》神奈川県社会人リーグ大会要項には性別に関する規定はなく、女性でも選手登録は可能。はやぶさイレブンの今季初戦は20日だが、永里の出場は登録期間の関係上、10月以降となる。日本サッカー協会によると10日現在、年齢制限のないカテゴリーとなる第1種には、全国で36人(永里を除く)の女子選手が登録されている。Jリーグも選手登録に関して性別の制限はない。

 ▽はやぶさイレブン 神奈川県でスポーツクラブを展開するSCDのJリーグ参入プロジェクトとして19年に発足。神奈川県リーグ3部に参入し、今季は2部に昇格した。今年2月に元日本代表FW永井雄一郎=写真=が加入。監督は鹿島、浦和、仙台、新潟などでプレーした阿部敏之氏。永里の妹・亜紗乃は同クラブでサッカーとゴルフを融合させたフットゴルフチームに所属している。

 ◆永里 優季(ながさと・ゆうき)1987年(昭62)7月15日生まれ、神奈川県厚木市出身の33歳。日テレメニーナから01年日テレ入り。10年にポツダム(ドイツ)に移籍し、同年の欧州女子CL優勝に貢献。チェルシー(イングランド)、ウォルフスブルク(ドイツ)、フランクフルト(ドイツ)を経て17年にレッドスターズ加入。日本代表では04年4月のアテネ五輪アジア予選タイ戦でデビュー。07、11、15年W杯出場。08、12年五輪出場。国際Aマッチ通算132試合58得点。1メートル68、60キロ。利き足は右。

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