×

【J通訳が皆伝する英会話術「Jリーガーからのヒント」<2>】単語は忘れてもOK

[ 2020年5月26日 05:00 ]

ジョージ赤阪(illustration by BASHI)
Photo By 提供写真

 こんにちは。大久保嘉人や中村俊輔らJリーガーから“ジョージ”の愛称で親しまれている、J2磐田の通訳です。21年間の通訳経験を生かし、常識とはひと味違う習得法を伝授しています。聞き手は英語が苦手な東京・門前仲町OLさん。新型コロナウイルス感染拡大の影響で普段より、長くなったおうち時間を生かし、2回目の今回もぜひ皆さん一緒に学びましょう。

 ジョージ(以下ジ)こんにちは。

 OL(以下O) こんにちは。前回は2歳児の学び方を観察することと、「英語脳」を作ることを学びました。今回のテーマは何でしょうか。

 ジ はい。今回は「単語は忘れる前提で反復しよう」です。

 O え?忘れてもいいんですか?

 ジ もちろんです。僕のところにもよく、「英単語を覚えられない。だから勉強が続かない」と相談があります。答えはシンプル。「忘れてもいいんだよ」と伝えます。実は僕も今フランス語を勉強しているんですが、その日覚えた単語はすぐに忘れています。

 O ジョージさんでも?

 ジ もちろん。だから気楽に学びましょう。前回、300語覚えれば既に英語で思考する力が身についているという話をしましたね。まずは1日10個単語をノートに書いて覚えましょう。閉じて単語を思い出せたらOK。30分後に全部忘れていても大丈夫です。
 O ほんとですか?

 ジ はい!仕組みはこの前と一緒なんです。あなたの身の回りの幼児を観察してください。単語を一生懸命覚えようとしていないのに、両親が毎日同じ言葉を繰り返して話しかけているうちに自然と覚えている。大人も同じです。一度脳の中にストックして反復していくことで、脳の中に固定されていくんです。1日単語を10個覚えれば1カ月で300語。反復をあと2回繰り返せば、3カ月経ったら300語が脳に染みついています。

 O 意外と簡単…。

 ジ 良かった。ここでちょっと小話をしますね。僕の通訳人生の中で「語学をあっという間に習得した外国籍選手ランキング」ベスト3を紹介します。

 O 知りたいです。

 ジ まず3位はウズベキスタン人のMFムサエフ(磐田在籍17年~現在)。来日時は英語も日本語も全く話せなかったのが4年目の今では両方上手です。2位は韓国人のDF朴柱昊(パク・チュホ、同10~11年)。鹿島在籍時から寮に住んでいたようで日本語が本当にうまかった。日本の新聞も読んでいました。

 O 凄い。

 ジ 後にも先にも新聞まで読んでいたのは朴だけです。そして1位はブラジル人のMFファブリシオ(同06~07年)。日本に来た時は英語が全くできなかったのが、たった2年間でペラペラになった。実は3人の選手には共通点があるんです。

 O 気になります。

 ジ それはね、とにかくおしゃべりで、ベラベラ喋っていたこと。覚えたてのフレーズをすぐに口に出すし、独り言も多かった。

 O 間違えることを気にしないんですね。

 ジ そうなんです。そうすると習得が早い。だから読者の皆さんも、今日からどんどん覚えた単語のフレーズを口にしてみましょう。お風呂に入りながら。運転しながら。料理をしながら。寝る前に。独り言のタイミングはいつでもいいんです。「暗記」より「独り言」。「暗記」より「反復」です。忘れることを気にせずにいきましょう!

O 時間はいっぱいあるので早速始めてみます!

 ◆ジョージ赤阪(じょーじ・あかさか) 99年から磐田の通訳を務める埼玉出身の53歳。日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、韓国語を操る。現在フランス語も習得中。これまで約30人の通訳を担当。
 ※全6編で、30日まで毎日配信。

続きを表示

2020年5月26日のニュース