×

元代表MF藤田俊哉氏、コロナ禍のなか…海外生活7年目だから実感“自制心こそ日本人の美徳”

[ 2020年5月3日 05:30 ]

「美徳」と書いた色紙を手にエールを送る藤田俊哉氏
Photo By 提供写真

 本来なら欧州各地を、飛び回っているはずだった。それが一転、拠点とするオランダにも戻れず日本にいる。歯がゆい日々にも、元日本代表MFで、日本サッカー協会(JFA)欧州駐在強化部員の藤田俊哉氏(48)は力を込めて言う。

 「日本は外国のようなロックダウンは法律上できない。でも日本人は自制心があって、規律正しく行動できる。今こそ、それを使う時だよね」

 12年7月に現役を引退し、海外クラブでの指導者を目指して14年1月からオランダに移住した。そして18年W杯ロシア大会後に新設された海外組や海外クラブとJFAをつなぐポストに就任。国際Aマッチが行われるたびにオランダと日本を行き来する。生活の軸足を外国に置いて7年目。改めて、日本が持つ美徳を実感している。

 新型コロナウイルスの影響で往来はできなくても、欧州各国の状況把握は怠っていない。日本とは違って、ほとんどの国で外出禁止令が発令。破った者には罰金を科す国もある。日本では最近、自粛要請に応じない施設への厳罰化が検討されているが「罰金とかがなくてもコロナを抑えきることができれば日本の強みを再確認できる。そして、そういう精神を育むためにスポーツは価値のあるものだというようになってほしい」と期待を寄せる。

 Jリーグや各国リーグだけではなく、日本代表も活動を休止している。海外組のコンディション把握だけではなく、クラブ幹部や監督との折衝役も担う藤田氏は「世界の情報を集めながら今後どういう状況になるのかを見越して動かないといけない」。午前中には協会関係者とウェブ会議を行い、時差のある海外組や海外クラブとは夕方以降に情報を交換。最速で9月から国際Aマッチが再開される可能性がある中、来年に延期された東京五輪、22年カタールW杯へ向けたチーム強化のシミュレーションを進めている。身動きは取れなくても頭は動かし続けている。

 コロナ禍が終息しても、経済を含めて不安定な時期は続いていく。スポーツどころじゃない可能性もある。「だからサッカー界は“試合をする”だけではダメ。日常生活の中で大事なんだと証明していきたい。今、海外組を含めていろいろなメッセージを発している。そこでつないだ火を炎にするためには、ピッチで活躍しないといけない。こっちもグッとギアを上げていくよ」。渡航制限が緩和されれば、再び、単身オランダへと渡る。

続きを表示

2020年5月3日のニュース