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札幌・武蔵、2年目の誓い 得点王&ACL出場「今季を楽しみにしてほしい」

[ 2020年1月5日 11:30 ]

新年にかける思いを語った鈴木が獅子舞を手に熱く燃える
Photo By スポニチ

 コンサドーレ札幌のFW鈴木武蔵(25)が本紙インタビューに応じ、今季の誓いを立てた。掲げたのはチームのACL出場と、個人のJリーグ得点王。加入1年目だった昨季から札幌のエースとして活躍した日本代表FWが、秘話を交えながら新年に懸ける思いを熱く語った。 (聞き手・青木 一平、武田 政樹)

 ――新年明けましておめでとうございます。昨季の札幌は10位。鈴木選手の13得点は5位タイでした。今季の目標から教えてください。
 「チームではACL出場、個人では15得点。そしてプロになった時に目標を聞かれて“得点王”と答えていたくらいなので、獲れたらいいですね。単純に一番になりたいし、自分が一番点を取ってたい。外国人FWよりも俺の方が点を取れると証明したい気持ちがあります」

 ――得点王になるために必要なことは。
 「どれだけゴールできる場所にいられるか。得点王になるFWは全部がスーパーゴールじゃない。こぼれ球の予測だったり、クロスへの入り方だったりが凄い。(鹿島の)興梠選手や(川崎Fの)小林悠選手は本当に点の取り方を知っているから何年も取り続けられる。そういう選手を見ると動きの質は大事だと思いますし、FWとして勉強になります」

 ――昨季は日本代表にも初選出され、6試合目となる先月の東アジアE―1選手権・中国戦で初ゴール。
 「なかなかゴールを取れず厳しかったので良かったです。ただ、最後にW杯(22年カタール大会)のメンバーに入ることが目標なので。そのために好調を維持するのが大事だと思っている。代表ではもっと個人の能力を上げなきゃいけないと感じたので、もっと成長していきたいです」

 ――昨季はツイッターでの差別的投稿に対する鈴木選手のツイート(※)が話題になった。
 「差別は昔からあったし正直、なくならないと思う。もちろんしないのがベストですけどね。でも自分と違う、周りと違う人がいたら、その人を違った目で見るのは人間の心理だと思う。それに対して僕ら側がそんなに重く受け止めていたらきりがないので」

 ――どうやって乗り越えてきたのですか?
 「もちろん子供の頃はつらくて、じいちゃんからベビーパウダーを借りて一生懸命肌を白く見せようとしていたらしいです。でもどうあがいても自分の色が変わることはない。だから小学校高学年くらいの時に、黒人や白人、黄色人種とかじゃなく“人”で勝負したいなと思うようになって。周りに一目置かれる存在になりたいとは思っていました」

 ――そんな考え方になったきっかけは。
 「やっぱりサッカーですね。サッカーをやっていなければ周りから凄いと思われることもなかった。ハーフだったら誰でもそういう経験はあると思うし、僕よりつらい人はたくさんいると思う。今いじめられている子供たちには、こういう人がいるんだよ、と知ってもらいたいです」

 ――サッカー以外で好きなアスリートは?
 「(カブスの)ダルビッシュ選手。自分の体や栄養のことを凄く勉強されている。常に物事を考えている人だと思うし、ユーチューブを見ると、それをしっかり言語化して発言できているのも凄い。インタビューはどうしても模範的な回答になりがちだけど、それをせずに自分の意見で言えるというのは凄い」

 ――今季の意気込みをお願いします。
 「札幌はリーグの中で一番伸びしろのあるチームだと思うし、見てて魅力的なサッカーだというのは間違いない。勝負弱いところがなくなれば必ず上位争いができるし、それだけのクオリティーを選手は持っているので、今季を楽しみにしてほしいです」

 (※)昨年9月、ジャマイカ人の父、日本人の母を持つ鈴木に大分サポーターを名乗る人物から人種差別的な投稿がされた。鈴木は「お父さんの血がなかったら日本代表になれていなかったと思いますし、ハーフである事、日本という素晴らしい国で育った事に感謝してます(原文のまま)」とツイートした。

 ◆鈴木 武蔵(すずき・むさし)1994年(平6)2月11日生まれ、ジャマイカ出身の25歳。群馬県で育ち、桐生第一3年で全国高校選手権8強。12年新潟入り。水戸、松本への期限付き移籍を経て18年に完全移籍した長崎で初の2桁となる11得点。19年に札幌に完全移籍し33試合出場、13得点のキャリアハイ。ルヴァン杯は7得点で得点王となった。日本代表7試合1得点。1メートル85、75キロ。利き足は右。

 ≪取材後記≫人間的な魅力にあふれている。25歳でも、話し方はとても落ち着いて温厚な性格。どんな場所でもユーモアを交えて場を和ませる気遣いができ、その笑いのセンスも高い。いろいろな人に愛される男は、今回のインタビューも笑いを交えながら和気あいあいとした雰囲気を自らつくってくれた。

 3年ほど前か、鈴木の親友のMF荒野から「武蔵っていうめちゃくちゃ面白くていいやつがいるんですよ!」とよく話を聞いていたのを思い出す。その2人がそろうトークショーなどのイベントはまさに最強。爆笑に次ぐ爆笑だ。次回以降への「ハードル」を上げて申し訳ないが…。 (青木 一平)

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2020年1月5日のニュース