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“枯れたオレンジ”再び実った!クーマン監督 低迷オランダ再建成功でユーロ本戦切符「もっと良くなる」

[ 2019年11月19日 09:00 ]

20年欧州選手権本大会出場が決まり、喜ぶファン・ダイク(右から3人目)らオランダイレブン(AP)
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 オレンジ軍団が復活を果たした。20年欧州選手権予選C組で、オランダは16日に北アイルランドと0―0で引き分け、勝ち点16で同組2位以内を確保して2大会ぶり10度目の本大会出場決定。サウサンプトン(イングランド)で日本代表DF吉田麻也(31)を指導したロナルド・クーマン監督(56)が、18年W杯出場も逃すなど低迷していた母国を3大会ぶりの主要国際大会出場に導いた。また17日にA、B、H組の最終戦7試合が行われ、B組で前回大会王者ポルトガルが2位で突破を決めた。

 地元メディアもオランダ代表の復活を祝った。欧州選手権出場決定から一夜明けた18日のテレグラフ紙は「オラニエ(代表の愛称)が笑いものから優勝候補に成長した」と前回大会予選敗退から4年での変貌ぶりを報道。復活の理由に最初に挙げたのは、クーマン監督の手腕だった。

 現役時代はバルセロナなどで活躍した大物OB指揮官は、18年W杯欧州予選敗退後の18年2月に就任。10年W杯で準優勝、14年W杯で3位となった黄金世代のFWロッベン、FWファンペルシー、MFスナイダーらに代わる「新リーダーが必要」とDFファンダイクを主将に指名。さらに「大きな変化が必要」と世代交代に着手。就任初戦から当時18歳のDFデリフトを「近い将来世界最高のDFになる」と先発に固定。世界最強との呼び声も高いファンダイクとのセンターバックコンビに育てた。

 中盤には18年6月に当時21歳だったMFデヨングを初招集し、2戦目から先発で起用。「ボール保持時のプレーはもちろん、守備も素晴らしい」とパスサッカーの攻守の要に据えた。FWの柱には当時代表通算8得点(34試合)だったデパイを抜てき。マンチェスターUで活躍できずリヨンに移籍したウインガーを「クラブと違う重要な役割」とセンターFWで起用し、11得点(17試合)と点取り屋として覚醒させた。

 核となる選手を中心にチームを育てながら、18~19年に行われた新大会の欧州ネーションズリーグで同組のフランス、ドイツを退けて準決勝に進出しイングランドを撃破。決勝でポルトガルに敗れたものの準優勝を果たした。欧州選手権予選は9月に4―2で撃破したドイツとともに突破し「素晴らしい結果だ。だがチームはもっと良くなる」。古巣バルセロナの次期監督候補と報じられる指揮官は、88年大会以来2度目の頂点を狙う来年の本大会を見据えた。

 ◆ロナルド・クーマン 1963年3月21日生まれ、オランダ・ザーンダム出身の56歳。現役時代は主にDFでアヤックス、PSVアイントホーフェン、バルセロナ、フェイエノールトなどで活躍。キックの名手で、直接FKからの26点は17年にメッシに抜かれるまでバルセロナのクラブ記録だった。オランダ代表通算78試合14得点、88年欧州選手権優勝メンバー。引退後はオランダ代表、バルセロナのコーチを経て母国ビッグ3のほか、サウサンプトン、エバートンなどの監督を歴任した。

 ≪ネーションズLの結果も影響≫▽欧州選手権予選 本大会出場枠は24。55チームがA~Jまで10組に分かれ、各組上位2チーム(20チーム)がまず突破。各組3位以下の中から、昨年9月~今年6月に行われた新大会の欧州ネーションズリーグの成績により16チームが来年3月のプレーオフ(PO)に進出。POは4組に分かれたトーナメントで行われ、残る4チームを決める。20年6~7月の本大会は広域開催で、準決勝と決勝はロンドンが舞台となる。

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