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メルカリ 16億円で鹿島の経営権取得「スマート化」で常勝軍団に新たな血

[ 2019年7月31日 05:30 ]

握手を交わす(左から)日本製鉄株式会社・津加宏執行役員、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー・庄野洋代表取締役社長、株式会社メルカリ・小泉文明取締役社長兼COO(撮影・吉田 剛)
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 フリーマーケットアプリ大手のメルカリは30日、J1鹿島の経営権取得を発表した。鹿島が発行する株式の61・6%(約16億円)について、日本製鉄から譲渡を受けることで契約を締結。この日、都内で行われたJリーグの理事会において承認された。本株式譲渡完了後(8月30日予定)、メルカリ社から新たに経営陣を加えた新体制を公表する。

 93年の開幕からJリーグをけん引してきた鹿島が、新しい時代を迎えた。住友金属工業時代の91年に行政などとクラブを立ち上げ、30年近く筆頭株主を務めてきた日本製鉄から、経営が13年創業の新進気鋭のメルカリ社に移る。歴史に残る大きな転換点だ。鹿島の庄野洋社長は「クラブとして受け継がれてきたフィロソフィーは継承していきながら、変えるべきものは変えていく」と説明。元住金でクラブの礎を築いたジーコ・テクニカルディレクターも理解を示し、現実化した。

 求めたのは、時代を先取るための経営変革だった。年間1000万人の利用者を誇るフリマアプリ「メルカリ」を筆頭に、スマホ決済サービスなどを短期間で運営、発展させてきた同社。常勝軍団を育む強化方針には全く手を触れず、同社の技術や経営術を生かして「ビジネスをしっかりと回し、そのお金でチームを補強し、さらに常勝軍団としての地位を獲得していきたい」(小泉文明社長)との思いから、17年のオフィシャルスポンサー就任以降、深い関係が築かれていった。

 経営参画に際し、鹿島が求めた条件は、本拠地の移転をしないこと。従来通り指定管理権を持つカシマスタジアム(鹿嶋市)が本拠となる。将来的にトップチームのクラブハウスをカシマスタジアムに移転して周辺一帯を発展させる構想がある。今季スポンサー契約を結んだNTTドコモとともに、顔認証システムで入場から飲食やグッズ購入まで可能になる「スマートスタジアム化」も、テクノロジーを有するメルカリ社の経営参画でさらに加速する。J開幕以来、積み上げてきたタイトルはACL含めて20冠。新たな黄金時代へ、異業種の風を取り入れる。

 ▽株式会社メルカリ 2013年2月1日設立。主な事業はスマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営。17年から鹿島のオフィシャルスポンサー。18年6月期(17年7月~18年6月)の決算で売上高は約357億円(前年度比62%増)、営業損益は約44億円の赤字。資本金は695億8700万円(18年6月末時点、資本準備金含む)。山田進太郎代表取締役会長兼CEO。

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2019年7月31日のニュース