浦和DF宇賀神「人生を変えた天皇杯」で母校と激突 「その日にレッズへ行くと…」
浦和のDF宇賀神友弥(31)は3日の天皇杯2回戦、流通経済大戦(駒場)を特別な思いを持って迎える。単に相手が「母校」だから、ではない。今から10年前の09年天皇杯2回戦、流経大の一員だった宇賀神はG大阪戦に出場していた。2―5で敗れたが、今も記憶に鮮明な一戦。大げさではなく「人生を変えた試合」と言う。
当時の宇賀神は浦和の特別指定選手でJ2のクラブからも獲得オファーを受けていた。周囲からはもっぱらJ1では通用しないだろうと言われていたという。だから宇賀神は決めていた。「この試合で歯が立たないのであればJ2に行こう」と。腹をくくった一戦は先制点を奪うなど前半を2―3で折り返した。得点やアシストはなかったが、J1でもやれる手応えを得るには十分だった。「通用するんだと言う部分を見せられたんです。その日にレッズに行くことを決めたので良く覚えています」。
序盤から予想に反して大学生が押し込んだ展開。宇賀神は調子に乗って相手サポーターを煽(あお)りに行ってしまったという。「ハーフタイムにG大阪のスタッフから“本当に辞めて下さい、帰れなくなりますよ”と言われて…。実際、帰りにバスが囲まれて“出てこいっ!宇賀神”と言われたりしました」。決して褒められる行為ではなかったが、プロに一泡吹かせようと熱くなっていた心情が伝わってくる。
今回は立場も代わり大学生の挑戦を受ける側。「大学生は当たって砕けろ、ですからね。鼻息の荒い選手も多いと思う。なめてかかっては駄目。頑張ってくる選手には、それを上回るファイティングスピリットを見せないと。気持ちは技術を凌駕すると思います」。宇賀神が対峙するのはまさに“10年前の自分自身”なのだ。
「決勝は新国立ですから。全てのサッカー選手が目指す舞台」と宇賀神。新国立競技場のこけら落としともなる来年元旦の決勝へ、浦和の連覇を懸けた戦いが始まる。(牧野 真治)
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