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カンボジアサッカー発展のために…本田圭佑オーナーのクラブ3季目の進化

[ 2019年3月23日 18:23 ]

本田がオーナーを務めるカンボジア1部ソルティーロ・アンコールFC(C)HONDA ESTILO
Photo By 提供写真

 果てしない夢へのアプローチは止まらない。元日本代表MF本田圭佑(32=メルボルンV)がオーナーを務めるカンボジア1部ソルティーロ・アンコールFCが進化を続けている。16年12月に運営への参画が発表されてから3季目、カンボジアスズキモーター社など大手をスポンサーに迎えて基礎体力を増強。戦力面ではJ2新潟などでプレー経験のある元JリーガーのFW木暮郁哉(29)らを補強して底上げを図った。

 昨季は同リーグで12チーム中10位。残留こそ果たしたものの、見上げれば優勝まで9チームも立ちはだかっている。本田の星稜高の後輩でもある辻井翔吾GM(27)は「目標を1部残留としていたため、想定内の結果で悲観はしていない。2部から1部に昇格し、ほとんどの選手が1部でプレーするのが初めて。開幕当初は速さや強さに慣れるのに時間が掛かってしまった。しかし、試合をこなすごとに慣れていき、選手やスタッフがチームの為に何ができるのかを考えて行動するようにな」と振り返る。さらにチームが大切にする“人としての規律”への手応えも「ピッチや控室のゴミ拾いを日本人選手や率先してやることで、それをカンボジア選手が真似をするようになった。サッカーだけしていれば良いということではない、という意識が浸透し始めていることを感じている」と口にする。

 戦いはすでに始まっている。新シーズンは17日にスタートした(開幕戦は1―1で引き分け)。クラブは20年の優勝を掲げており、今季は優勝圏内を目指す。しかし、ただ強いだけのチームになればいいわけではない。「ファンから愛されるチーム作りをしていく。勝っても負けても応援に来てくれるようなコアなファンを作っていくことが大切だと考えていて、ピッチ外の、選手やスタッフ一人一人の日々の活動がファン作りにつながる」と言葉に力を込めた。

 そんな中、大きな変化がある。それは加入2年目の藤原賢土(27)が憧れの存在と同じ選手兼監督の二刀流に挑戦することだ。「これまでは自分の成長だけを考えていたが、ここに来てからはチームメイトの成長やチームがどうやったら機能するかなど、様々な角度からサッカーを考えさせてもらった」。藤原は広い視野で周囲を見渡すことで、新たな考え方を手に入れ、それを自身に還元している。それはピッチ外でも同様だ。「ソルティーロ・アンコールFCのあり方を確立させ、カンボジア全体の発展に貢献できるよう最善を尽くします」と視点は一選手の枠を超える。

 当の本田も指針をブラさない。「カンボジアサッカーの発展のため、そしてカンボジアの子ども達の為にやり続ける」「地元のファンから愛されるチームになってほしい、そしてファンサービスや社会貢献活動を積極的に行ってほしい」。子ども達の目指す目標を作りたかったという、同国でプロクラブチームを持ちたいと思った理由そのままに道なき道を突き進んでいく。

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