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磐田PO完勝!名波監督、悲壮覚悟&俊輔流ハッパで一丸J1残留

[ 2018年12月9日 05:30 ]

J1参入プレーオフ決定戦   磐田2-0東京V ( 2018年12月8日    ヤマハ )

<磐田・東京V>後半、磐田・田口(右から3人目)がFKを決めイレブンの祝福を受ける(撮影・篠原岳夫)
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 J1参入プレーオフ決定戦が8日に行われ、J1で16位だった磐田がJ2で6位からの“下克上昇格”を狙った東京Vを2―0で破り残留を決めた。名波浩監督(46)が自身の進退を懸けて臨んだ名門同士の激闘。試合直前には元日本代表MF中村俊輔(40)の発案で行った選手間ミーティングでチームはさらに一丸となり、力の差を見せJ1を死守。中村はチーム不振の原因に自らの責任も挙げ、来季の復活を誓った。

 完勝でJ1残留を決めても、名波監督に笑顔はなかった。「負ければ間違いなく辞めるつもりだった」。試合後の会見で飛び出した仰天発言。エース中村をはじめケガ人に泣かされた一年だったが、昨季6位からまさかの16位転落。「この試合をやったのは間違いなく僕の責任」。指揮官にとって、まさに進退を懸けた大一番だった。

 残り30秒で決勝点を奪われ16位に転落した1日の川崎F戦。2日間のオフを挟んで再開した4日の練習では、重い空気が漂っていたという。それでも指揮官は完全非公開で万全の準備を整えた。さらに試合直前には、数々の修羅場をくぐり抜け、かつてレジーナでも苦しい残留争いの経験がある中村が一役買った。

 試合開始約3時間前。指揮官の了承のもと選手ミーティングを提案した中村。開口一番「今のままでは勝てると思わない」と言った。あ然とする周囲。すると「それはうそだけど」と続け「今ムカついた人は戦う準備ができている。ムカつかなかった人は、スタジアムに向かうバスの中で気持ちを切り替えてほしい!」と言い放った。これでチームの戦闘モードは最高潮に。引き分けでも残留は決まったが、開始から攻撃的な姿勢で東京Vを圧倒した。

 6月にメスを入れた中村の右足首にはこの日も痛み止めの注射が打たれ、テーピングで固められていた。ケガに泣かされた一年。途中「引退が見えてくるってこういうことなのかな…」と心が折れかかったこともあったという。その中で飛び込んできた尊敬してやまない川口の引退の一報。「能活さんみたいに、もっともがかないと!」。再び燃え上がったサッカーへの情熱。3日前には川口から「厳しいけど頑張れ」と激励の電話を受けた。この日は後半アディショナルタイムのみの出場だったが、大一番で存在感は見せた。

 「今年のオフでしっかり足首を治して、もうちょっと完全燃焼したい」。苦しんだシーズンを終え、現役続行を宣言したレフティーは静かに来季での復活を見据えた。

 《航基PK 田口FK》東京五輪のエース候補のFW小川航が指揮官の抜てきに応えた。川又の右足の状態が万全でない中、1トップで先発。前半41分に自ら得たPKを右足で冷静にゴール左に蹴り込んだ。小川航が「勝ちにつながって良かった」と振り返った先制弾で勢いに乗ると、後半35分には田口が右足で得意の直接FKを決めた。「(山田)大記さんがファーの方が良いと言ってくれた。力を出せてうれしい」。チームメートが開けた壁の間を抜く技ありのFKを左隅に決め、ドローでもJ1残留だった試合に決着をつけた。

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