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リオ五輪組の出番なし「継続性」に暗い影 競争失われ若い世代が犠牲に

[ 2018年7月8日 11:10 ]

検証 西野ジャパン功罪(5)

出番のなかったGK中村(中央)やDF植田(奥)らリオ五輪世代
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 初8強まで、あと一歩に迫った財産を今後にどう生かすか。継続性の観点では西野ジャパンの功績は小さい。登録メンバー23人の開幕時の平均年齢は、過去のW杯と比べて最も高い28・26歳。16年リオデジャネイロ五輪世代からは中村、植田、遠藤、大島の4選手が選出されたが、誰も出番はなかった。直近の五輪代表が一人もW杯のピッチに立たなかったのは史上初。未来に暗い影を落とした。

 4月に就任した西野監督は急ピッチでのチームづくりを余儀なくされたため、本田、香川、岡崎の“ビッグ3”に象徴されるベテラン勢に命運を託した。その犠牲となったのが、若い世代だ。5月21日からの国内合宿に招集されて同30日の親善試合ガーナ戦後にふるい落とされた浅野、井手口、三竿はまだしも、アジア予選の功労者の久保、3月のベルギー遠征で活躍した中島にはアピールの場すら与えられなかった。西野監督は4月27日〜5月8日に欧州組を視察。イングランド、スペイン、ドイツなどを巡ったが、ベルギー、ポルトガルには足を運んでいない。電撃的な監督交代の余波で、平等な競争は失われていた。

 W杯では前線から積極的にプレスをかける守備、しっかりボールをつなぐ攻撃と今後も継続すべき日本のスタイルが垣間見えた。その旗振り役だった西野監督は退任し、長谷部、本田、酒井高ら長年屋台骨を支えた選手も代表を引退する。日本協会の技術委員の一人は「W杯ごとに戦い方が変わることは終わりにしないといけない。次の監督には日本のスタイルを理解してもらった上で契約する必要がある」と指摘した。新生日本の初陣は9月7日の親善試合(札幌、相手未定)。西野ジャパンのDNAの息づく再出発にしなければ、ロシアでの躍進も水泡に帰す。 (特別取材班)

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2018年7月8日のニュース