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選手の意向を反映したハリル監督解任…チームは結束も、汚点になりかねない危険な賭け

[ 2018年7月7日 10:00 ]

検証 西野ジャパン功罪(4)

日本代表帰国会見を終えて引き揚げる西野監督(撮影・沢田 明徳)
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 言い訳の許されない状況だった。ハリルホジッチ前監督の電撃解任は、一部ベテランによる“クーデター”の要素が大きい。3月23日のマリ戦に1―1で引き分けると、大半の選手が公然と戦術や采配を批判。複数の選手から協会幹部に監督交代を要望するメールも届いた。手倉森コーチの昇格を望み、それを想定していた選手も多い中、西野監督が就任。技術委員長時代の2年間でほとんど話したことがない選手も多く、戸惑いはあったが、やるしかなかった。

 ハリル政権下で冷遇された本田は、西野ジャパンの初陣5月30日のガーナ戦でトップ下で先発するなど、攻撃の軸として期待された。開幕直前で香川に定位置を奪われたが「サブでも前向きに取り組める」と腐らなかった。岡崎は1次リーグ初戦コロンビア戦の3日前に両ふくらはぎ痛を発症しながら、強行出場。乾は右太腿負傷でクラブから手術を勧められたが、保存治療を選択してギリギリで初戦に間に合わせた。

 1得点1アシストと活躍した香川を含め、ハリルホジッチ前監督の戦術に不満を持ち、不遇をかこっていた選手たちが活躍。日本協会が前監督から不当解雇で訴えられる状況下で惨敗すれば、解任を“主導”した選手に批判の矛先が向くことは避けられなかった。

 大会2得点の乾は「僕は多分、ハリルさんなら選ばれていない。ハリルさんを“解任した方がいい”という報道がたくさん出ていたのに、実際に解任したら“なんでこの時期に”となった。僕らからすると(解任は)素晴らしい、勇気ある決断だった」と言う。ベテラン勢が同じベクトルを持った一因には、皮肉にもハリルホジッチ前監督に対する共通の不満があった。W杯開幕2カ月前の監督交代でチームは結束したが、選手の意向が強く反映された解任劇という前例は、日本サッカー界の汚点になりかねない側面もある。

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2018年7月7日のニュース