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イングランド8強!GKピックフォード、PK戦“負の歴史”阻止

[ 2018年7月5日 05:30 ]

W杯決勝トーナメント1回戦   イングランド1―1(PK4―3)コロンビア ( 2018年7月3日    モスクワ )

<コロンビア・イングランド>PK戦、コロンビア5人目・バッカのPKを止めるピックフォード(撮影・西尾 大助)
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 決勝トーナメント1回戦の残り2試合が3日に行われ、1次リーグG組2位のイングランドは、日本と同じH組を1位突破したコロンビアを下し、06年ドイツ大会以来3大会ぶりの8強入りを果たした。後半終了間際に追いつかれて延長1―1で決着がつかず、W杯で過去3戦全敗だったPK戦で4―3と初勝利を飾った。F組1位スウェーデンは94年米国大会以来、6大会ぶりの準々決勝進出。これでベスト8が出そろい、4、5日の休養日を挟んで、6、7日に準々決勝が行われる。

 5人目のキッカー、MFダイアーのシュートがゴールネットを揺らし、勝敗が決した。イングランドの選手全員がGKピックフォード目掛けて走り寄る。殊勲者を中心に喜びが爆発した。

 ついに呪縛を解いた。W杯では90年、98年、06年と屈したPK戦を4度目の正直で初めて制した。「これで次の世代にも自信を与えられる。チームにとって特別な夜になった」とサウスゲート監督。歴史的瞬間の準備は22年前から始まった。

 96年欧州選手権の準決勝ドイツ戦。指揮官は選手としてピッチに立ち、PK戦の6人目で失敗。「永遠に忘れることはない」と今でも責任を感じている。当時は立候補制でキッカーを決めていたが、自身の経験から廃止。個人のPK技術を分析して1番から23番まで順番を事前に決め、練習に練習を重ねた。

 PK戦の呪いと決別するため、精神面の強化にも力を入れた。スタッフとして心理学者を帯同し、宿泊先ホテルでは、5人1チームでパットゴルフ対決をさせた。その際に相手チームには存分にヤジらせ、プレッシャーの中で力を発揮できるようなトレーニングも取り入れた。

 ピックフォード抜てきも手腕の一つだ。17年に初招集すると、1メートル85と大柄ではないが判断と瞬発力に優れる24歳を重宝。「精神的に強い」と自負するGKにコロンビアのPK時の癖を徹底的に教え込んだ。「ファルカオ以外は全てどちらに蹴るか分かっていた」と相手5人目のシュートを、左手一本ではじいた守護神は振り返った。

 準々決勝ではスウェーデンと対戦する。過去30年で2回しか勝てていない(2勝7分け4敗)難敵だ。平均年齢25・65歳と8強ではフランスに次ぐ2番目に若いチームは「新しい歴史をつくろう」という監督の言葉を実現する準備はできている。

 ≪20年ぶり2度目の“快挙”≫イングランドはW杯PK戦4度目での初勝利。GKピックフォードのセーブは、98年大会1回戦アルゼンチン戦でのGKシーマン以来、20年ぶり2度目の“快挙”だった。イングランドは欧州選手権でもPK戦は苦手で1勝3敗。勝利は96年大会準々決勝スペイン戦だけで、続く準決勝ドイツ戦は6人目のDFサウスゲート(現監督)が失敗し5―6で敗れている。

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