×

ザッケローニ氏 「勝ちたい」メンタル理解できるが…大きすぎる土壇場のミス 陣形崩し過ぎたDF陣

[ 2018年7月4日 10:20 ]

W杯決勝トーナメント1回戦   日本2―3ベルギー ( 2018年7月2日    ロストフナドヌー )

後半アディショナルタイム、シャドリ(右)に決勝ゴールを決められる川島(左)(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 14年W杯ブラジル大会で日本代表を指揮したアルベルト・ザッケローニ氏(65=現UAE代表監督)が、日本代表のベルギー戦を分析した。

 日本の勝利を信じていただけに、本当に残念な結果となった。中でも残念だったのが、後半アディショナルタイムの失点シーン。あの場面はチームとして大きなミスを犯した。あまりの作為のなさを露呈した。サッカーでは起こり得ること。それでも…。

 あの時間帯でチームはバランスを崩し過ぎた。勝ちたい、という日本人のメンタルは理解できる。ただ、本来であれば、(本田)圭佑のCKで、2人のセンターバック(吉田、昌子)は後ろに残しておくべきだった。あの直後に速攻から決勝ゴールを許した。日本のミスを見逃さなかったベルギーも称賛されるべきだが、日本のDF陣はあまりにも陣形を崩し過ぎた。

 私はそれまで日本の勝利を確信していた。特に(後半36分に)圭佑がピッチに入ったときは、そう強く感じた。圭佑はゲームをコントロールできる選手だと思っていたから…。

 ベルギーはフィジカル面で上回り、ルカクは脅威だった。でも、ピッチ中央での戦いは、日本は試合の大半で相手に勝っていた。デブルイネは本来の力を出し切れていなかったし、E・アザールも同点ゴールを(左足クロスで)アシストするまでは、本当にミスが多かった。

 結果は別として、日本はそれくらい素晴らしい試合をした。勇気を持って強敵に立ち向かい、自分たちの持ち味を出した。日本人特有の俊敏さ、そして労を惜しまないプレー。(川島)永嗣も決して悪くなかった。だからこそ余計に残念でならない。

 中でも素晴らしかったのは、コンパニーを苦しめた大迫。コンパニーは常に大迫との1対1を強いられた。両脇の2人は後ろをカバーするのではなく、前でプレーしていたからだ。両サイドも素晴らしい仕事をした。中でも左の乾は最高だった。乾は元々見る者を楽しませるプレーをしていた。でもゴールすることがほとんどなかった。だが、今大会は2得点。乾と長友のコンビはまさに攻撃陣の軸だった。

 来年1月のアジア杯で、日本はUAEと対戦する可能性がある。私はメンバーに大きな変更はないと思っている。まずGKは変更の余地がない。若い優秀なGKがあまりいないからだ。本田は今大会で代表を引退すると思う。代表引退を表明した長谷部主将の後継者は山口だろう。彼は本当に優秀だ。ベンチにも優秀な若手が多い。ロシアではイランに強烈な印象を受けたが、日本はアジア最強であることに違いはない。我がUAEも、覚悟して戦わなければいけないだろう。(14年W杯ブラジル大会日本代表監督)

 ◆アルベルト・ザッケローニ 1953年4月1日生まれ、イタリア・メルドラ出身の65歳。83年に当時4部のチェゼナーティコの下部組織で監督業をスタート。ウディネーゼを経て98〜99年シーズンにACミランの監督に就任し、1年目でリーグ優勝。その後ユベントスなどを指揮し10年8月に日本代表監督就任。14年W杯ブラジル大会は1次リーグ敗退で大会後に退任。16年は北京国安を指揮し、昨年10月、UAE代表監督に就任した。

続きを表示

2018年7月4日のニュース