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乾、SEXY無回転弾!無心の放物線「打った瞬間“入った”」

[ 2018年7月4日 05:30 ]

W杯決勝トーナメント1回戦   日本2―3ベルギー ( 2018年7月2日    ロストフナドヌー )

後半7分、ゴールを決め喜びを爆発させる乾(撮影・小海途良幹)
Photo By スポニチ

 W杯初出場の2人が新しい扉を開いた。後半3分にMF原口元気(27)が日本史上初の決勝トーナメントゴールとなる先制点、同7分にはMF乾貴士(30=エイバル)が追加点を挙げた。W杯全4試合で計6得点は日本サッカー最多得点記録。攻撃的サッカーを標榜(ひょうぼう)した西野ジャパンの意地を示した。

 無心だった。1点リードの後半7分、香川のパスを受けた乾がエリア外から右足を振り抜いた。「たまたまですけどね。打った瞬間に“いい感じ。入ったな”と思った」。1次リーグ第2戦セネガル戦と同じような軌道を描いたボールはネット右隅に突き刺さった。

 30歳にして初のW杯舞台。そこにたどり着くまでは強い執着心があった。5月中旬に右大腿四頭筋を負傷。当時所属していたエイバルは「打撲」と発表したが、実は「足も膝も曲がらない状態。手術と言われた」。絶望的な気持ちになったが5月18日の親善試合ガーナ戦に向けたメンバー28人の中に残った。諦めきれなかった。手術以外で治す方法を模索。エイバルも理解を示してくれ、シーズン最終戦を待たずして帰国することを許可してくれた。そして最後の最後に、23人に滑り込んだ。

 「ガーナ戦も出られなかった。でも(西野)監督は自分を待ってくれた。こんなに使ってくれるとは思わなかった。感謝の気持ちをぶつけたかった」

 親善試合パラグアイ戦(6月12日)で2得点。当初のサブ要員から脱却し、一気にレギュラーの座を奪い取った。そしてW杯1大会では日本人最多タイ記録となる2得点1アシスト。野洲高時代に「セクシーフットボール」の象徴とされたことが改めて報じられて日本中で“セクシー”ブームが湧き起こったように、スペイン仕込みの高い技術はFIFAランキング3位の強豪ベルギー相手でも通用した。「本当に悔しい…としか言えない」。だからこそ試合後は人目もはばからず号泣した。

 「左サイドには若い選手がたくさんいる。代表引退とは言わないけど、若い選手が出てきて自分が選ばれないのは当然。選ばれれば必死で頑張るけど、選ばれなくても良い」

 日の丸をつける、つけていないは本人にとっては大きな問題ではない。だが圧倒的な技術を持っていれば、世界と伍(ご)することができる――。乾が示したものは、今後の日本サッカーにとって道しるべになる。 

 ▼日本代表オフィシャルパートナーのキリン株式会社磯崎功典代表取締役社長 今回の大会を通じて、サッカーというスポーツの素晴らしさを広く知らしめ、日本サッカー界のこれまでの努力を結果として残してくれたサッカー日本代表に感謝します。

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2018年7月4日のニュース