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日本、勝利を夢見た悲劇…48年ぶり決勝Tでの2点差逆転劇

[ 2018年7月4日 05:30 ]

W杯決勝トーナメント1回戦   日本2―3ベルギー ( 2018年7月2日    ロストフナドヌー )

後半アディショナルタイム、シャドリに決勝ゴールを決められうなだれる乾(手前)ら日本代表イレブン(撮影・小海途 良幹)
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 日本代表は2日、ロストフナドヌーで開催された決勝トーナメント1回戦でベルギーに2―3で敗れた。2点を先制しながら、後半アディショナルタイム4分の失点で痛恨の逆転負け。史上初の8強進出に手が届かなかった。日本サッカー界は終了間際の失点で初のW杯出場を逃した93年の“ドーハの悲劇”を糧に成長を遂げた過去がある。目標に掲げる世界のトップ10入りへ“ロストフナドヌーの悪夢”を教訓にする。

 ロシア南西部の都市ロストフナドヌーの夜に勝者と敗者のコントラストが鮮明に浮かび上がった。決勝トーナメントでの2点差逆転は70年のドイツ―イングランド戦以来、実に48年ぶり。終了の笛が響くと、赤い歓喜の固まりの横で、青いユニホームがピッチにひれ伏した。本田はぼうぜんと立ち尽くし、香川は大の字でピッチに倒れ込んだ。乾、昌子、酒井宏は人目をはばからず号泣。西野監督は「最後は本気のベルギーがいた。あそこまで覆されるとは思っていなかった。認めたくないゲーム。強い失望がある。これがW杯なのかな」と目を真っ赤にした。

 悪夢の瞬間は後半アディショナルタイム4分。本田の左CKがGKにキャッチされ、カウンターを食らった。必死の帰陣も実らず、痛恨の失点。ボールがGKの手を離れてからネットが揺れるまで、わずか10秒足らずの速攻だった。西野監督は「ああいうスーパーカウンターを受けるとは予想していなかった」とがくぜんとした。

 前半、相手の猛攻を耐え抜くと、後半3分に原口が先制弾。その4分後には乾が追加点を挙げた。大きなアドバンテージを得たが、守勢に回った終盤は防戦一方。指揮官は「2―0のアドバンテージをひっくり返されたわけですから、それは選手の非ではなく私のコントロールによるもの」と受け止めた。

 あの時も悲劇が日本を強くした。93年10月28日、ドーハで開催されたアジア最終予選イラク戦。左CKから後半アディショナルタイムに失点して初のW杯出場を逃した。悔しさを糧に98年フランス大会に出場。その後6大会連続で出場を果たしている。四半世紀を経て、今回は味方の左CKから速攻を受けて、初8強を逃した。くしくも、アディショナルタイムと左CKは同じキーワード。サッカーの神様から再び試練が与えられた。

 次のW杯は22年カタール大会。主力は大幅に入れ替わる可能性が高い。西野監督は「いいサッカーを表現できたと思うが、結果に対してはもちろん成功とは言えない。このW杯を次につなげていけるかどうか。4年後に今大会のチャレンジが成功と言えるようなサッカー界であってほしい」と言った。開幕2カ月前の監督交代劇を乗り越え、下馬評を覆しての決勝トーナメント進出。W杯8強の壁を越えた時、“ロストフナドヌーの悪夢”は、伝説となる。

 ▽70年メキシコ大会準々決勝の西ドイツ―イングランド 66年大会決勝の再戦。前回優勝のイングランドは前半31分にマレリー、後半4分にピータースがいずれもクロスから決めて2―0。西ドイツは後半23分にベッケンバウアーがドリブルから1点を返し、同37分にゼーラーのヘディング弾で2―2の同点。4年前と同じく延長に突入し、後半3分にミュラーがボレー弾を決めた西ドイツが3―2でリベンジした。

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