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西野監督 10分多く走れる!批判ボール回しの“恩返し”約束

[ 2018年7月1日 05:30 ]

W杯決勝トーナメント1回戦   日本―ベルギー ( 2018年7月2日    ロストフナドヌー )

<日本代表練習>大きなアクションで話をする西野監督(撮影・小海途 良幹)
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 日本代表は30日、ベースキャンプ地のカザンで決勝トーナメント1回戦ベルギー戦(2日、ロストフナドヌー)に向けて練習を行い、決戦の地へ移動した。西野朗監督(63)は1次リーグ最終戦ポーランド戦で終盤に0―1スコアをキープする戦略的ボール回しを指示したことを選手に謝罪。世界中で物議を醸した試合で温存した体力を、史上初の8強進出を懸けた大一番にぶつける意気込みを示した。

 国内での批判や称賛、そして世界中のメディアからの大バッシング。ポーランド戦後の2日間で、西野監督の采配は大きな注目を浴びた。後悔はない。だが、モヤモヤはある。日本史上初の8強入りを懸けた大一番が2日後に迫る中、指揮官はいつも通りに静かに口を開いた。

 「もうあさって(2日ベルギー戦)のことしか頭にない。走行距離が10分間、ないわけですから。80分間で(走行距離は)少なかったですし、その分は走れる。いろんな方にその分をお返ししたい」

 ポーランド戦では同時刻開催のコロンビアがセネガルに勝つ他力に懸け、0―1の後半37分以降はスコアのキープを指示。攻撃を止め、後方でボールを回して時間を進めた。勝利手形を得たポーランドも攻撃には出ず“無気力試合”で試合は終了。日本の出場全選手の走行距離合計は83キロで、コロンビア戦の101キロ、セネガル戦の105キロより20キロ前後も少なかった。先発6人を変更して主力を温存したとはいえ、吉田、長友、酒井宏は3試合連続フル出場。酒井宏は「疲労が凄かったので、あの戦いになって助かった」と振り返った。

 29日にはミーティングを実施。冒頭で西野監督は「どちらかに振れた采配をしないといけないと思った。16強に進んだのに素直に喜べないような状況をつくって申し訳ない」と謝罪したが、逆に選手側からは采配を支持する声が上がった。遠藤は「ああいう判断をさせてしまって申し訳ない。選手は皆“謝らないで”という感じでした」と証言した。選手、コーチ、スタッフも思いの丈を述べ、チームは結束。10年W杯南アフリカ大会で16強の壁に阻まれた長谷部、本田、長友らは8強への熱い胸の内も吐露した。

 30日の練習は約1時間で、リカバリーが中心。心身ともにリフレッシュさせるため、戦術練習は行わず、ベルギー対策のミーティングも1日以降に持ち越した。指揮官は「自分たちを整えて向かう。対ベルギーは向こう(ロストフナドヌー)に行ってからになる。メンバーもまだ伝えてない」と説明。1次リーグと同様にコンディション調整を最優先する。信条に反した采配も、全ては8強への布石。全てをエネルギーに変えて、新たな歴史の扉を開く。

 ≪賛否両論のラスト10分≫0―1だったポーランド戦の後半37分、西野監督はFW武藤に代えてMF長谷部を投入。主将が「このままでいく」「イエローカードに気をつけろ」の2点を伝え、日本はボールを回し続け時間を進めた。同時刻に行われたH組のもう一試合はコロンビアが1―0でセネガルをリード中。結局、スコアは動かず、勝ち点、得失点、総得点、当該チーム同士の試合結果などでセネガルと並んだ日本は、警告数などによるフェアプレーポイントの差でH組2位となり、決勝T進出を決めた。ただ「単なる醜悪」「最も恥ずべき10分」と世界中から批判される事態となった。

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