×

乾“セクシーショット”決めた!わずかな隙間から芸術的ゴール

[ 2018年6月26日 05:30 ]

W杯1次リーグH組   日本2―2セネガル ( 2018年6月24日    エカテリンブルク )

<セネガル・日本>前半、ゴールを決める乾(左)(撮影 ・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 セクシーな技術が詰まった一撃だった。0―1で迎えたセネガル戦の前半34分。柴崎のロングパスを受けた長友がボックス内左からマイナスのパスを送る。それを受けたのが乾だ。DFの間、わずかなシュートコースを瞬時に見定め右足を振り抜くと、強烈なシュートは右サイドネットに突き刺さった。

 「(長友)佑都くんがうまく裏に抜け出してくれた。裏は狙い所だった。うまくゴール方向に向けたし、得意のコースだったので、打ってみようと。その結果です」

 ゴール後はベンチへ一直線に走った。「苦しい時はベンチを見ろ」。主力も控えも一丸となって戦う日本代表の合言葉だ。自身も以前は切り札的な役割だったが、W杯前最後の親善試合だったパラグアイ戦で2得点を挙げ主力に上り詰めた。悔しさを抱えながらもピッチに立つ選手を支えてくれる仲間への感謝が身体を動かした。

 「セクシーフットボール」で知られる野洲高2年時に全国制覇。プロ2クラブ目となったC大阪で台頭した。11年夏に欧州移籍を果たしてからは丸7年がたった。その間、数多の紆余(うよ)曲折や葛藤を乗り越えてきた。フランクフルトで迎えた欧州3季目。後半戦は3試合の出場にとどまった。それでも、チーム練習後、遅くまで公園でボールを蹴る姿があった。親しい友人には「何があかんのか分からへん」「サッカーおもんない」。だが、苦悩の言葉を漏らしても、諦めたことだけはなかった。

 不退転の決意で臨んだ翌シーズン。結果を残して目標としてきたスペインリーグ移籍を実現させ、現在は家族を日本に残して奮闘をしている。少年の頃から誰よりサッカーが好きで、努力を続けてきた。サッカー小僧は異国の地で戦い続け技術的にも精神的にもたくましさを増していた。

 30歳にしてたどり着いたW杯。後半33分にはこぼれ球を左のゴールライン際まで走って折り返し、本田のゴールもアシストした。それでも、「(初得点は)もちろんうれしかったが、2点目を取るチャンスもあったし、あの1点に満足していない」と慢心はない。1次リーグを突破し、さらなる高みへ。シンデレラボーイの視線は上だけを捉えている。

続きを表示

この記事のフォト

2018年6月26日のニュース