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浦和の“アウトレイジ”大槻氏が見せた戦う姿勢 声でも選手の心つかむ

[ 2018年4月24日 13:56 ]

浦和・大槻前監督
Photo By スポニチ

 オールバックの指揮官は惜しまれつつ、暫定期間の任務を終えた。野太い声と派手なアクション、鋭い目付きにジェルで固めた髪型…。2日から暫定的に指揮を執った浦和の大槻毅監督(45)は、その衝撃的なキャラと思い切ったさい配で低迷ムードを払しょく。開幕から5戦未勝利だったチームを3勝1分けとV字回復させた。

 まず厳つい風貌は短期間でサッカー界を席巻。チーム内外で「組長」「親分」「アウトレイジ(北野武監督の映画)みたい」との声が挙がった。大槻監督のガッツポーズが表紙を飾った21日のマッチデープログラムは試合前に完売。まさに闘う男の象徴となった。大槻氏は言う。「見た目で判断するのは好きではないのですが、見た目も大事だとは思う。浦和の代表として仕事をする時、何かしらスイッチを入れたかった」。役作りの側面もあるが、本気で戦う姿勢の表れだった。

 思い切ったさい配と巧みな話術はチームに一体感ももたらした。橋岡、柴戸がリーグ戦デビューを果たすなど指揮した公式戦6戦でフィールド選手は全選手を起用。自然とチーム内の競争意識は高まった。成績不振で解任された堀孝史前監督は4バック布陣を基本としていたが、相手のシステム、特徴をみながら3バックも採用するなど柔軟さも光った。

 ミーティングは名言の連続だったと言う。ラストマッチとなった21日の札幌戦前には「(大槻監督の最後という)ストーリーを乗っけるな」。「あなた達は日本で一番サッカーがうまい人達。プライドを持って戦おう」と伝え、選手のプライドを刺激した。槙野は「声で人を動かせる人。中畑清さんのようだった。短かったけど濃い時間を共有できた。チームが一致団結してまとまったと思う」。これほど短期間で選手、サポーターのハートを掴んだ指揮官は希有な存在と言っていい。

 暫定期間を終えた22日、浦和はオリヴェイラ新監督(67)を迎えた。大槻氏は「今、もっともチーム を理解している」(中村GM)ことからヘッドコーチに就任した。変化したのはチーム内での役割だけではない。22日の練習では近寄り難い雰囲気だったオールバックが、サラサラヘアーに変わっていた。気のせいか、表情も柔和に見えた。今後は名参謀、選手と監督のパイプ役としても期待される。

 オリヴェイラ新監督、大槻ヘッドの新体制で迎える初陣は25日、アウェーでの柏戦となる。果たして、 どんな戦いぶりを見せるのか。ヘッドコーチの“スイッチ”は入るのか。どうしても期待せずにはいられない。オリヴェイラ監督の隣りに髪をジェルで固めたオールバックの“あの男”が座っている事を。(記者コラム)

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2018年4月24日のニュース