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浦和DF宇賀神 成長の糧は反骨心「プロにしなかったレッズを絶対に許さない」

[ 2017年12月29日 14:58 ]

埼玉県立幸手桜高校で講演した浦和・宇賀神
Photo By スポニチ

 胸に突き刺さったキーワードは「リバウンドメンタリティー」だ。浦和のDF宇賀神友弥(29)が26日、埼玉県立幸手桜高校で「講演」を開催した。高校時代の恩師からオファーを受けて実現したもので、講演は宇賀神にとっても初めての試み。約200人の小中高生が参加した。最初は互いに緊張が見られたが、徐々に宇賀神の話術が聴衆を引き込み始めた。講演後に行われた質問コーナーはもはやエンドレス。宇賀神が「楽しかったです。あっという間に時間が過ぎた」ほどの盛況となった。

 宇賀神は自作の資料を持参し、半生を振り返っていった。埼玉・戸田市に生まれ、市内でサッカーが一番うまいと信じて疑わなかった少年時代。順風満帆に浦和の下部組織に進んだものの、高校卒業時にはトップチームに昇格できず、挫折を味わう。両親の反対を押し切って進んだ流通経済大だったが、最初は“7軍”の試合にも出られなかった。だが宇賀神は前に進み続けた。苦しい時こそ4年間、休むことなく書き続けたサッカーノートを見返し「サッカー選手になるんだ」と念じ続けたという。

 秘めた「反骨心」が成長の糧となった。浦和のトップチームに昇格できなかった際、宇賀神は誓ったという。「自分をプロにしなかったレッズを絶対に許さない。見返してやる。オファーが来ても断ってやる」。同じ市内に本拠を置き、さいたまダービーで激突する大宮に加入して埼玉スタジアムで「ぶっ潰してやる」と考えたこともあった。結果的には下部組織から育てられた浦和に復帰。今やレッズでも欠かせぬ選手の1人となった。宇賀神は「ああいう思いがあったから成長できたのだと思う」と振り返った。

 まさに「リバウンドメンタリティー」。実体験を基にした講演には、小中高生も熱心に聞き入った。父兄、教員、そして取材しているメディアさえも引き込まれていった。宇賀神自身もまた、話して伝えることで「自分を見つめ直す、良い機会になった」と言う。

 6月には念願の日本代表に初選出された。一方で右膝の負傷などにも苦しめられた17年。そんな1年の最後を“講演”で締めくくった。来年はW杯イヤー。宇賀神は「W杯も可能性がゼロではない。1回代表に選ばれた中で感じたのは、やっぱり目指すべき場所ということ。カズさんじゃないですけど、目指さなくなったら引退です」。不屈の魂とともに宇賀神はピッチを走り続ける。 (記者コラム)

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2017年12月29日のニュース