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ルヴァン杯MVP級の活躍見せた“黒子役”木本 今季は「想像を超えたシーズン」

[ 2017年11月22日 10:30 ]

10月のルヴァン杯準決勝・G大阪戦で、後半終了間際にゴールを決めてガッツポーズの木本
Photo By 共同

 かつての黒子役が、日の目を浴びる存在となった。11月4日、ルヴァン杯決勝。C大阪は2―0で川崎Fを下し、クラブ史上初となる主要大会のタイトルを手にした。あと1勝で優勝を逃したのが、過去に5回。さらに計33選手が出場するなど総力を結集して戦ってきた大会だけに、頂点に立った喜びは大きかった。その中で唯一、全13試合に先発出場するなどMVP級の活躍を見せたのが、大卒2年目のMF木本恭生(24)だった。

 振り返れば2年前の15年、福岡大4年の木本は全日本大学選抜の一員だった。獲得に乗り出していたのはC大阪、浦和、福岡。プロが注目していたとはいえ、年代別の日本代表に選ばれたことはなく、サッカー界を通じて有名だった訳ではない。では、なぜC大阪は熱心に誘ったのか。何度も試合や練習に足を運んだスカウトの都丸善隆氏は言う。

 「危ない場面に顔を出すというか、ゴールライン上でボールをクリアしたりするのが彼だった。4―3―3のインサイドハーフをやることもあった中で、常にチームのバランスを整えるポジションにいるのも彼でした」

 ボランチやセンターバックなど複数のポジションをこなし、機転が利き、かつ気が利く。一見、地味な存在ながら「“目に見えないところを見抜くのがポイント”とスカウトの先輩方から教わった」という都丸氏は、大学2年の時から木本を追ってきた。

 ルヴァン杯準決勝第2戦G大阪戦では、後半ロスタイムに決勝点を挙げヒーローになった。ただ、昨季はトップに定着できず、主にU―23チームでプレーしJ3で23試合に出場。悔しい思いも味わってきた木本は、決勝を戦い終えた直後から、前だけを見ている。

 「また競争がある。(今季は)自分の想像を超えたシーズンになっているけど、これで満足したら終わりなんで」。C大阪の背番号15は、さらなる進化を追い求める。(西海 康平)

 ◇木本 恭生(きもと・やすき) 1993年(平5)8月6日生まれ、静岡県富士市出身の24歳。静岡学園中、静岡学園高、福岡大と進み16年にC大阪加入。プ昨季はJ2で1試合の出場のみも、今季はJ1で第32節を終え21試合に出場。本職はボランチとセンターバック。1メートル83、73キロ。利き足は右。

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